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佐野と2人きりになった道を歩く。「送ってく。家どこ？」なんて言われ断ろうとしたけれど、そういえばこの人は人の話を全く聞かない人であったことを思い出し、素直に厚意に甘えることにした。私の家を知らない佐野より2,3歩前を歩く私のそのスピードは心なしか早かった。佐野とは出会ったばかりだし、共通点は三ツ谷くんくらいでその他にこれといった繋がりもない。友人というにはまだ程遠い関係性だから、正直何を喋ったらいいかわからない。かと言って、そんな私の空気を読んで佐野の方がリードする様に会話を振ってくれるわけでもなく…その空間が気まずすぎて思わず足早になってしまった。けれど佐野はそんなことは全く気にする様子もなく「お前歩くの早すぎ、もっとゆっくり歩けよ」とだらしなく履かれた制服のズボンに手を突っ込みのんびり歩きながらそう言った。
「あ、ここ」
それからもしばらくお互い無言のまま歩き、ようやく家の前に到着したところで2人で足を止めた。
「送ってくれてありがとう」
「いいって別に。暇だったし」
「それから昨日も今日も、…助けてくれてありがとう」
「何回言うんだよ。もう何度も聞いたよ」
「…だって、佐野が来てくれなかったら正直どうなってたかわからないもん」
「オレが来た時のAの顔、すっげーアホ面で可愛かったなー」
「ちょっと、馬鹿にしてんの？あんな場面で制服なんて普通返しに来ないって。アホ面にもなるわよ。しかも返すだけ返して帰ろうとするなんて頭いかれてるって本気で思った」
「お前…失礼なやつだな。それが恩人に対する態度かよ」
「うっ…確かに恩人は恩人だね…。多分、あの時佐野があぁ言ってくれなかったら私は佐野に助けてって言えてなかったし…」
「あの時？」
「あんたが私に聞いた時。お前はどうしたい？って」
「あー…アレね」
「…本当は佐野も三ツ谷くんも巻き込みたくなかった。だから助けてなんて言うつもりなかったの…だけど佐野は私の言葉を遮って質問を変えてくれたじゃん」
「うん、お前がそういうのはわかってたからな」
「あの時、助けていい？ってあんたが言ってくれて…あの言葉があったから、私は助けてって言えたの。だから…ありがとう」
佐野の目を見ていえば佐野は頭をかきながら私から視線を逸らした。その私の言葉に少し照れたような顔をするもんだから少し拍子抜けする。あれ？なんだ意外と可愛いとこあるじゃんなんて少しだけ思った。
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knnk99(プロフ) - 麗さん» 麗様 ご指摘ありがとうございます！変換ミスしていましたね…読みづらく申し訳ございません。修正させていただきました！他も確認次第修正していきます。こんな小説にもったいないお言葉本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします。 (2021年8月2日 18時) (
レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 6ページなのですが、無償に ではなく 無性に ではないかなと、、、 余談ですが、お話好きなので完結まで着いていく所存です！ (2021年8月2日 18時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柴咲華 | 作成日時：2021年8月2日 2時
