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「駿…」
駿が倒れているところに膝まづきスカートのポケットから出したハンカチを血だらけの顔に当てた。
駿は学校では爽やかな好青年だった。笑うとその笑顔が眩しくて、そんな彼に憧れていた女子は多かったと思う。恋をしていた子もいると思う。けれど、今の彼は爽やかなんて言葉はとても似つかない顔をしていてその顔に少しだけ胸が痛む。
「…駿…」
「……」
「ねえ、駿。最後だから」
「……」
「最後だから…ちゃんと聞いて。ちゃんと、終わろう」
「……」
「このままじゃきっと、私も…駿も前に進めないと思うから」
「……っ、A…」
「…最後こんなふうになっちゃったけど、私は駿と付き合えてよかったよ」
「！！」
「一緒に過ごした時間が楽しくて、その時間が私はすごく好きだった」
「…何言ってんの…お前」
「初めて喋った時のことも告白してくれた時のことも、手繋いだ時のこともそのほかも全部覚えてる」
「…っ、」
「たくさん私のためにしてくれたのにそれを上手に返せなかったのは私だ。駿をこんな風にしたのも私なんでしょ…？」
「…俺、は……」
「私は駿のことが好きだったよ」
ずっと言えなかった言葉は口に出せば案外簡単に彼の耳へと届いた。彼にそれを言ったのは最初で最後だった。思春期真っ只中の私たちのような中学生が好きだのなんだの人に伝えるってすごく難しいことだと思う。羞恥心が邪魔をして何度も言おうとしたけど言えなかった言葉だった。だけど思い返せばその難しいことを目の前にいるこの人は何回も私に向けてやってくれていたのに、それを私が返したことは一度もなかった。もっと早く言っておけば、私が他の男子と絡んだだけで彼はこうはならなかったんじゃないか。なんて自意識過剰な後悔が頭の中を駆け巡った。
「…っなんだよ、今さら！！おせぇよ！！」
「……うん、ごめん」
「なんでっ、何で今言うんだよ！」
「ごめんね」
「ちゃんとお前がそれを言ってさえくれれば…俺はお前のこと傷つけたりなんかしなかった…。うまくいかない気持ちをよその奴らとの喧嘩でぶつけたりなんかしなかった…」
「……そっか、私が苦しめてたんだね」
「なのに…なんでっ！何で今なんだよ！！」
そう言った瞬間駿はボロボロの体を起こして飛びつくように私を押し倒し覆い被さり首に手を当てた。
だけど昨日路地裏に連れ込まれた時と違い、その駿の冷たい手に力は全く入っていなかった。
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knnk99(プロフ) - 麗さん» 麗様 ご指摘ありがとうございます！変換ミスしていましたね…読みづらく申し訳ございません。修正させていただきました！他も確認次第修正していきます。こんな小説にもったいないお言葉本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします。 (2021年8月2日 18時) (
レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 6ページなのですが、無償に ではなく 無性に ではないかなと、、、 余談ですが、お話好きなので完結まで着いていく所存です！ (2021年8月2日 18時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柴咲華 | 作成日時：2021年8月2日 2時
