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人間の中にある五感というものは、何か一つでも失われると他の残った感覚は急激に研ぎ澄まされるようになっていて、それぞれの本来持つ力以上を発揮すると言われている。昔何かの本で読んだことがあった。
佐野によって奪われた視界のおかげで私の耳には今多分全神経が集中しており、だからこそ倉庫内に響き渡る佐野の声も、駿の小さな舌打ちも三ツ谷くんが苦しそうな声をあげながらも何やら動こうとしていることも、確信は持てないけれどなんとなくわかってしまった。
「…おい、てめぇ勝手なこと抜かしてんじゃねーぞ。今別れさせるとか言ったか？」
「あぁ」
「ふざけんじゃねーぞ！てめぇらみたいな部外者に壊されてたまるかよ！！！」
「は？知らねーよ。オレがテメェとAを別れさせてテメェをぶっ殺すって決めたんだ。オレがそう決めたからには絶対ぇやるんだよ」
「……雑魚が！後悔しても知らねーぞ。オイ！テメェら！やれ！」
駿のその号令が掛かった後は正直耳を塞ぎたくなるような音ばかりが聞こえ思わず体を縮こまらせた。
普段聞かないような人の呻き声とか、殴り蹴りしているだろう音とかそんな音ばかりが聞こえるが、誰が誰を殴ってるのかなんてわからなくて、佐野がやられているんじゃないかと途端に恐怖で震え上がる。そんな時、突如口元を塞がれた感覚に息を飲んだ。大きい手で覆われた口に、もう私には抵抗する術は何もなくて視界を奪っている制服のリボンが自分の涙で濡れたのがわかった。
「…Aさん、静かに」
「！(三ツ谷くん！？)」
「…声出したら奴らがこっちに気づくかもしれないから、声出すなよ」
何で三ツ谷くんが…。
三ツ谷くんも手を縛られていたはずじゃ…。
彼は私の手を縛る紐を何かで切っているようだった。何度も彼の手の動きに合わせて私の手も動きその度に紐に食い込まれた手首が擦れて痛みを感じたがそんなことは言ってられない。三ツ谷くんに言われた通り黙って彼のいう通りにしていると「よし」という彼の声が聞こえたのと、両手首の締め付け感がなくなりぴたりとくっついていた両腕が離れたのは同じタイミングだった。咄嗟に視界を覆っていたリボンを自由になった手で外そうとするとその手は三ツ谷くんの手で止められた。
「もうちょい我慢な…」
「我慢って、何で！」
「静かに！」
「あ、……」
「アレは…Aさんは見ない方がいい。…っていうか見ないでくれ」
それは一体どう言う意味…？
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knnk99(プロフ) - 麗さん» 麗様 ご指摘ありがとうございます！変換ミスしていましたね…読みづらく申し訳ございません。修正させていただきました！他も確認次第修正していきます。こんな小説にもったいないお言葉本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします。 (2021年8月2日 18時) (
レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 6ページなのですが、無償に ではなく 無性に ではないかなと、、、 余談ですが、お話好きなので完結まで着いていく所存です！ (2021年8月2日 18時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柴咲華 | 作成日時：2021年8月2日 2時
