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大きな声をあげる姿も、額に青筋をたて怒る姿も彼には似合わなかった。だって、私は知らない。こんな彼の姿を見たことがない。私の知る三ツ谷くんはクールで大人で大体のことはなんてことない顔をして、やり過ごしたり、見て見ぬ振りできちゃう男の子だった。
例えば妹が悪さをしたって絶対に怒鳴ることなんかなく、少し呆れた顔して笑うような人。
私が何度心配をかけさせたって、懲りずに諭すように優しい顔を何度も向けてくれちゃうような人だった。そんな彼が、目に角を立て眉をピクピクと振るわせながら、今にも噛み付きそうなまるで狂犬のような表情をしている姿はとてもじゃないけど想像できなかった。三ツ谷くんには似合わないそんな表情を貼り付けたまま倉庫の入り口に立っていた彼は、ズカズカと私たちの方へと向かってくる。これが漫画だったら彼の背景には『ゴォォォォ！』という擬音がぴったりな殺気に満ちた顔だった。
「テメェ…その手今すぐ下さねぇと殺すぞ」
「ハハハ！なんだよ、やっぱりこの女に連れて来られてたんじゃねぇかよ三ツ谷！」
「あ！？何言ってんだテメェ」
「上等上等。お前のことは最初に殺してやろうと思ってたんだ、これで一石二鳥だ」
「…テメェみたいなクズにオレは
「女の前だからってカッコつけてんじゃねーぞ！てめぇのそのスカした面変形させてやる」
「うっせーよ。テメェの独り言に付き合ってる暇ねーんだよ。いいから今すぐその腕をおろせ。後、彼女を掴んでるその手も離せクズが」
「あぁ！？さっきから何カッコつけてんだてめぇ！ヒーロー気取りかよ、ふざけんじゃねーぞ！！！！この女はてめぇの女じゃねぇんだよ！！！」
「聞こえねぇのかよクズ野郎。そんなことはどうでもいいんだよ。もう一度言う、その手離して今すぐAさんから離れろ」
ズカズカと歩きながら三ツ谷くんは淡々と駿に言葉を投げつけていく。そしてその三ツ谷くんの言葉に声を張り上げて駿も返していく。二人のやりとりを黙って聞いていると突如目の前で振り上げられていた駿の腕がぶらんと落ちたのがわかった。それと同時に私の掴んでいた胸ぐらも彼は離した。突然のことにバランスを保てなくなり尻餅をつく。そんな私をほったらかして本格的に戦闘モードに入った駿は、不気味な笑みを浮かべて三ツ谷くんに向き直った。そして三ツ谷くんも私が離れたことを確認したその瞬間、駿に向かって勢いよく走り出した。
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knnk99(プロフ) - 麗さん» 麗様 ご指摘ありがとうございます！変換ミスしていましたね…読みづらく申し訳ございません。修正させていただきました！他も確認次第修正していきます。こんな小説にもったいないお言葉本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします。 (2021年8月2日 18時) (
レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 6ページなのですが、無償に ではなく 無性に ではないかなと、、、 余談ですが、お話好きなので完結まで着いていく所存です！ (2021年8月2日 18時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柴咲華 | 作成日時：2021年8月2日 2時
