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その日は朝からずっと雨が降っていた。まだ日も暮れてない時間帯なのにも関わらずどんよりとした真っ暗な空からは、まさにバケツをひっくり返したようなという表現がぴったりの雨が降っていた。
「ねえ、あれやばくない…?」
「えっ…ちょっ、だ、誰か呼びにいこうよ」
マイキーと放課後野暮用を済ませてからの帰り道。今日は一日中降ると天気予報で言っていたのを思い出した。「止みそうにねぇけど、どうするマイキー」そう声をかければマイキーは、お前何言っちゃってんの?とでも言いたげな顔をしてから「雨でもなんでも走る。今日は絶対走る。オレは今日走りてー気分なんだ」そう言い張った。そんな彼にため息をつくも、言い出したら聞かない性格であることは十分わかっていたため反論はしなかった。放課後のちょっとした他校とのいざこざのせいでその日のマイキーの機嫌は悪かった。それはもうとてつもなく。
このまま放置しようもんなら荒れ果てたマイキーが1人で暴走してしまうことは明らかであった。「わかったよ…じゃあバイク取りに帰ろうぜ」仕方なく言ったオレをマイキーは満足そうに見て頷いた。
マイキーと並び河原を歩いていると、そこには大雨にも関わらず人だかりができていた。こんな雨の中何してんだよと思いながらも聞こえて来た声につい足を止めてしまう。集まっていた連中が注目していた視線に目を向ければ…
「……犬?」
そこには川の中心にある岩で体を身震いさせている犬がいた。
「なんであんなところに犬が…」
その犬はよく見て見れば前足がおかしかった。本来とは違う変な方向に曲がりその足は岩につけられておらず三足で体を支えているようだった。それがわかったところであの犬があの岩場から自由に動けないことを理解する。加えて朝から降り続く豪雨のせいで今にも氾濫しそうなくらいに川の水位は上がり、あの犬が足場にしている岩などすぐに飲み込んでしまいそうな勢いだった。そうなれば、流れも早い上怪我をしているこの状況下であの犬が助かる見込みはないに等しかった。
可哀想だと思うがどうすることもできずオレも野次馬達も、甲高い声で鳴く犬と激しい流れの川をただ見ているしかできなかった。
「っ、あの犬……ちっ」
隣から小さくそんな声聞こえ見てみれば、マイキーが珍しく焦ったような顔をしていた。歯を食いしばり、傘を持つ手は震えその腕には血管が引くほど浮き出ている。
「…マイキー?」
そんな時だった。
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knnk99(プロフ) - 麗さん» 麗様 ご指摘ありがとうございます!変換ミスしていましたね…読みづらく申し訳ございません。修正させていただきました!他も確認次第修正していきます。こんな小説にもったいないお言葉本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします。 (2021年8月2日 18時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 6ページなのですが、無償に ではなく 無性に ではないかなと、、、 余談ですが、お話好きなので完結まで着いていく所存です! (2021年8月2日 18時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柴咲華 | 作成日時:2021年8月2日 2時