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慌てて追ったからバイク一旦取り行っていい?そう言って取りに戻った三ツ谷くんを佐野の家から少しだけ離れたところで待っている。バイクを押してやってきた彼に、結局今日は送ってもらうことになっちゃって申し訳ないと謝れば、やっぱり彼は全然余裕だと言って笑ってくれた。
「マイキーはさ、あんな風に言ってたけど本当にAさんのことどうにかしたかったんだと思うよ」
「…うん、わかってはいるんだけど」
「Aさん、頑固だもんなー」
「うっ…自負しております」
「オレも、マイキーもAさんが辛いなら助けてぇんだよ」
「……私にはそれがわからないの。三ツ谷くんはまあ…同級生として、友達として私を助けようとしてくれてるのわかる。だけど佐野は違うじゃん」
「あいつは本能だけで動く人間だからな」
「そうだとしても、普通見ず知らずの女を助けようとする?何かしてやりたいと思う?」
「……見ず知らずじゃねーんだよな…」
「え?」
「あ、いや…人を助けたいとかそう言う気持ちにオレは理由なんかいらねーと思うけど」
「そう、かな……」
「うん、そうだよ。オレはAさんだから力になりたいと思った。多分…マイキーもきっと、Aさんに対して思うことあるんじゃね?」
そう言われてみると、佐野にも同じようなことを言われたことを思い出す。理由はない。理由をつけるとしたらお前を助けたかっただけと。もし本当にこの人たちがただの人助けとして私に手を差し伸ばしてくれてるなら、この人たちはただのお人好しだ。それも超がつくほどの。
「…三ツ谷くんも、佐野もお人好しすぎるよ」
「ハハッ。そんな大層なもんじゃねーけど。お人好しはダメ?」
「いや、ダメってわけじゃないんだけど…」
「…人を巻き込めない、巻き込みたくないって言ってたけどさ。オレ達は、いや…オレは巻き込まれたくて言ってんだよ」
「……」
「オレ達もうダチじゃん!ダチだったら巻き込まれたなんて思わない」
「……三ツ谷くん」
「だから、関係ないとか巻き込みたくないとかそんな寂しいこというなよ」
オレ的には頼ってくれた方が全然嬉しい。
そのあとの会話は続かなかった。私が何の言葉も返せなかったからだ。三ツ谷くんの言葉が嬉しい。気持ちが嬉しい。
そして、バイクの後ろに乗って夜風に冷えた頭で冷静に考えると、理由とかそんなもの関係なしに私を助けてくれようとした佐野の気持ちもすごく嬉しかった。
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knnk99(プロフ) - 累さん» 累様 嬉しいコメントありがとうございます。佐野くんカッコ良すぎますよね…あんな闇を抱えた男前なんとかしてあげたくなっちゃいますよね笑 のんびり更新ですが気長にこれからもお付き合いいただけましたら幸いです。ありがとうございます! (2021年8月24日 1時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
累(プロフ) - 作品読ませて頂きました。続編はこれからですが、私もマイキー大好きなので、これからの夢主ちゃんとの絡み楽しみにしています。 (2021年8月21日 17時) (レス) id: 755be2d6bc (このIDを非表示/違反報告)
knnk99(プロフ) - 麗さん» 麗様 ご指摘ありがとうございます!気がつきませんでした( ; ; )修正させていただきました!教えていただき、またお読みいただきとっても嬉しいです!ありがとうございます(^ ^) (2021年8月2日 18時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 48ページ 一ヶ所名前変換が出来ていないところありました。 (2021年8月2日 18時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柴咲華 | 作成日時:2021年7月17日 4時