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子供みたいな捨て台詞を吐き佐野は防波堤を飛び降りた。そのままバイクが止めてある場所まで私を置いてスタスタ歩いていくと、あろうことか最初に来た時と同様ヘルメットを首にぶら下げバイクに跨り勢いよくスタンドを蹴り上げた。え?ちょっとまって…嫌な予感がする。
「ちょっ、ちょっと待って!!正気!?」
「……………」
「置いてかないでよ!!」
「……………」
「ねぇ!聞こえてんでしょ!!無視すんな!!」
「……………」
「ねえってば!!!」
「……………」
「ちょっと!マジで置いてく気なの!?」
「……オレの助けはいらねーんだろ?」
「え!?なに!?聞こえない!!!!」
「だから!オレの助けはいらねーんだろ!!!」
「は!?違うよ!それとこれとは別でしょ!!」
「何も違わねえ、一緒だよ!!お前はオレの助けをいらねーっつって断った」
「っ、それは!!」
「だったらなんでも1人で何とかすればいいだろ!」
「…あんた頭いかれてるんじゃないの!!ここに勝手に連れてきたのはあんたでしょ!!!」
「は?知らねーよ!勝手にしろっつっただろ。じゃあな」
一瞬だった。エンジンがかかる音が聞こえるとバイクは走り出した。奴は振り返りもしない。
最初から私なんかいなくて1人で来たかのように颯爽と走り去る佐野の後ろ姿はどんどん小さくなっていく。
「…嘘でしょ…マジで頭いかれてる」
"佐野万次郎"
私はこいつのやることも考えてることも全く理解できなかった。
どれくらいその場にいたかわからない。
ぼーっと夜の海を眺めてるだけ。人っ子1人いない。
彼に言われて慌てて飛び出したもんだから、財布もなければ携帯もない。佐野が適当に走らせたどり着いた場所だからここがどこなのかもわからない。交番を探そうにもありそうな場所もわからない。
「…ほんっと最低!」
何なんだあの男は。確かに私は自分で何とかするって言った。言ったけどそれは駿とのことで、佐野達を巻き込みたくないだけだったのに、それで置き去り!?ありえなさすぎる。この後どうしようとかそんな不安は最初だけで、今はもう私を置きざりにして去っていった佐野に対する怒りしかなかった。
体育座りをして顔を埋める。日が昇り朝になったら交番を探そう。そうしよう。
そう心に決めた時だった。目の前の海がいきなり眩しいライトに照らされ静かな空間にクラクションの鳴り響く音が聞こえる。
振り返った先には…
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knnk99(プロフ) - 累さん» 累様 嬉しいコメントありがとうございます。佐野くんカッコ良すぎますよね…あんな闇を抱えた男前なんとかしてあげたくなっちゃいますよね笑 のんびり更新ですが気長にこれからもお付き合いいただけましたら幸いです。ありがとうございます! (2021年8月24日 1時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
累(プロフ) - 作品読ませて頂きました。続編はこれからですが、私もマイキー大好きなので、これからの夢主ちゃんとの絡み楽しみにしています。 (2021年8月21日 17時) (レス) id: 755be2d6bc (このIDを非表示/違反報告)
knnk99(プロフ) - 麗さん» 麗様 ご指摘ありがとうございます!気がつきませんでした( ; ; )修正させていただきました!教えていただき、またお読みいただきとっても嬉しいです!ありがとうございます(^ ^) (2021年8月2日 18時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 48ページ 一ヶ所名前変換が出来ていないところありました。 (2021年8月2日 18時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柴咲華 | 作成日時:2021年7月17日 4時