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佐野に聞きたいことは山ほどあったことを思い出した。あの日公園でなぜ私を知っているような口ぶりだったのか。何故見ず知らずだったはずの私が駿から暴力を受けていることを知っていたのか。私が気を失った後駿はどうなったのか。意識が戻ってから全くこのことを考えようとしなかったため忘れかけていたが、今ではたくさんの質問で脳内はいっぱいいっぱいだった。その中でも一番聞きたかった質問を佐野に投げた。
なんで佐野は私を助けようとしてくれている?
その質問に佐野は「やっぱり、くだらないこと言った」と呟いた。
「そんなもんに理由なんかねーよ」
「…だって、私を助けたからと言って佐野に何のメリットも、」
「ナメんな。損得で動いてるわけじゃねぇ」
「っ…じゃあ何で、」
「理由をつけるんだとしたら、お前を助けたかっただけ。お前みたいなやつがあんなクズに支配されてるのかと思うと胸糞わりぃ」
「………なにそれ」
助けたかっただけ。というけど、佐野のその返答は私の質問の答えにはなってなかった。損得で動いているわけじゃないと佐野は言ったけど、そんなお人好しのボランティアをやる人がこの地球上のどこにいるのか。そしてこの自由奔放な人間がボランティアの類で道ゆく困った人を次々と助けていくなんて想像もできない。確かに佐野は優しいけど、何故佐野はひたすらに私と駿を引き剥がそうとしてくれるのかわからなかった。
「……もう一個聞きたい…」
「なんだよ、質問の多いやつだな。…あ、でもお前の質問はろくでもないからやっぱダメ」
「さ、最後に一個だけ!もう聞かない!」
「……今度くだらねぇこと言ったらマジ殺すよ」
怠そうな無気力な目がデフォルトのはずの彼が殺すよと言いながら私をジッと目をかっ開いて睨むものだからその迫力に圧倒されそうになる。優しいけど、この人たまに怖い…!けれど負けじと私も口を開く。
「…あの後、私が気を失った後…や、やっぱいい」
「言いかけてやめんな、言え」
「っいや、でも」
「言え」
「っあ、あの後…駿は…どうなった、の?」
「…何?お前まだあんな奴のこと気になるの?」
「いや、気になるとかではないけど…」
「気になってるから聞いてんだろ」
「うっ、いや…それもそうなんだけど」
「何もしてねぇ」
「え?」
「オレたちは何もしてねぇ。気失ったお前を置いてさっさと逃げやがった」
本当にクズ野郎だな。彼はそう付け加えた。
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knnk99(プロフ) - 累さん» 累様 嬉しいコメントありがとうございます。佐野くんカッコ良すぎますよね…あんな闇を抱えた男前なんとかしてあげたくなっちゃいますよね笑 のんびり更新ですが気長にこれからもお付き合いいただけましたら幸いです。ありがとうございます! (2021年8月24日 1時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
累(プロフ) - 作品読ませて頂きました。続編はこれからですが、私もマイキー大好きなので、これからの夢主ちゃんとの絡み楽しみにしています。 (2021年8月21日 17時) (レス) id: 755be2d6bc (このIDを非表示/違反報告)
knnk99(プロフ) - 麗さん» 麗様 ご指摘ありがとうございます!気がつきませんでした( ; ; )修正させていただきました!教えていただき、またお読みいただきとっても嬉しいです!ありがとうございます(^ ^) (2021年8月2日 18時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 48ページ 一ヶ所名前変換が出来ていないところありました。 (2021年8月2日 18時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柴咲華 | 作成日時:2021年7月17日 4時