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改めて質問すると言われて私は少し強張った。別に何を聞かれても困ることはないのだけれど、そう改まられると萎縮してしまう。「…なに?」佐野に言われて少し黙ってしまったが恐る恐るそう聞けば佐野は私と目線を合わせるように防波堤にしゃがみ込み、ぐいっと私に顔を寄せた。ものすごく至近距離で彼は口を開いた。
「なんで庇った?」
「え?」
「オレがあいつを殴ろうとした時、なんでお前はあいつを庇った?」
「………」
「お前を殺しかけた奴だろ」
あの時の状況がフラッシュバックするかのように鮮明に頭の中を駆け巡った。彼氏だと思ってた人に路地裏に連れ込まれ首を絞められ殺すと言われ。確かに、佐野が駿を殴ろうとした時、駿を庇う理由などどこにもなかった。自分でも何であんなことしたのかわからない。あんなことさえしなければ痛い思いもせずに済んだ。佐野と辮髪の少年にボコられた駿は、私が彼らと関わりがあると思い込んでるようだったのだから、自分をボコった相手と関わりのある私と金輪際関わろうとしなかったかもしれない。それなのに、どうして私はあの時庇ったのだろう。
「わか…んない…」
「は?」
「なんで、庇ったのかは…私にもわからない」
「…お前バカか。あんな奴庇ったってなんにもなんねーだろ」
「わかってる。…わかってるんだけど、佐野と彼の喧嘩と、私と彼のことは別物だと思った」
「……」
「あの場に、佐野たちが入ってきてくれたことは本当に感謝してる。…だけど暴力で解決できることでもないでしょ?」
「…あいつはお前に暴力振るってるんだぞ」
「それでも。関係ない佐野たちが彼に手を出して彼と揉める必要はない」
庇ったというより、あなたたちを巻き込みたくない方が多分私は強かった。そういえば佐野は「お前はほんとバカだな」と呆れたように言った。
「言ったはずだ。オレはお前に頼ってこいって」
「…言われた、気がする」
「頼れよ。助けてって言えよ。お前がそれさえ言えばオレがお前をこの状況から助けてやる」
「…ねえ、ずっと聞きたかったこと聞いていい?」
「……何?くだらねー質問だったら答えねーよ」
「初めて会った時も、今も不思議でしょうがない」
「……」
「…なんで佐野は私を助けようしてくれるの?」
「…なに?何がダメなの?」
「いや、ダメとかじゃなくて…。初めて公園で会った時から不思議だった。
あんたが私を助ける必要がどこにあるの?」
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knnk99(プロフ) - 累さん» 累様 嬉しいコメントありがとうございます。佐野くんカッコ良すぎますよね…あんな闇を抱えた男前なんとかしてあげたくなっちゃいますよね笑 のんびり更新ですが気長にこれからもお付き合いいただけましたら幸いです。ありがとうございます! (2021年8月24日 1時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
累(プロフ) - 作品読ませて頂きました。続編はこれからですが、私もマイキー大好きなので、これからの夢主ちゃんとの絡み楽しみにしています。 (2021年8月21日 17時) (レス) id: 755be2d6bc (このIDを非表示/違反報告)
knnk99(プロフ) - 麗さん» 麗様 ご指摘ありがとうございます!気がつきませんでした( ; ; )修正させていただきました!教えていただき、またお読みいただきとっても嬉しいです!ありがとうございます(^ ^) (2021年8月2日 18時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 48ページ 一ヶ所名前変換が出来ていないところありました。 (2021年8月2日 18時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柴咲華 | 作成日時:2021年7月17日 4時