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「家に連絡だけ入れとけよ」なんて言われ「いや帰ります!」と声を張り上げて言えば、渋々でも私の言うことを優先してくれる三ツ谷くんとはまるで違い、目の前の彼は私の言うことなんて全く聞き耳持たずだった。
「お前が今日ここに泊まるのは決定事項。帰るって言う選択肢は与えてねーよ」
「…あの、助けてもらったのは感謝してる!…だけど佐野万次郎に何で命令されなきゃいけないの?」
「だから、なんでフルネーム?なげーし名前でいいって言ってんじゃん」
「いや、ちょっとまって…今呼び方の話なんてしてな、」
「万次郎」
「……だから呼び方なんてどうでも、」
「言ってみ?万次郎」
そう言う話をしたかった訳じゃないのに、彼は私が彼の名前を呼ぶまで煽り続けた。思い返せば、初めて会った時も初対面で失礼な物言いをしたりと目の前のこの男は傍若無人、そのものだった。そんな彼の言いなりになってはいけないと私の心の中の小さな反抗心がひょこひょこと顔を出す。絶対に従ってたまるかと彼の名前は呼ばずに「じゃあ佐野で」と言えば、彼は実につまらそうな顔をして「あんたやっぱり可愛くないな」と呟いた。可愛くなくたって別にいいもん。
スクールバックを肩にかけ、携帯電話を握りしめ今すぐにでも帰りそうな私に佐野はわざとらしい大きなため息をついた。
「もう三ツ谷は明日迎えに来るって言ってんだ。心配するあいつの気持ちも考えろよ」
「…心配かけてるのはわかってるけど」
「わかってるなら言う通りにしろって。今日だって、どうせあいつが送るっていったのを拒否って結局あーなってたんだろ」
「…っ…それは、」
「少しは人の好意に甘えとけ。そんな顔で帰ったらお前の親にだって心配かける。…まあ殴ったオレが言うのもアレだけど…」
「……………」
「それにオレもまだお前と話さなきゃいけねーことが残ってるんだ」
だからとりあえず今日は泊まってけ、オレの言うことは絶対だ。にっこり笑ってそう言った佐野は私の携帯を再び手に取った。そして慣れた手つきで勝手に操作を進めてく。三ツ谷くんもそうがだ人の携帯を勝手に触るなんてどう言う神経してんだろう。私の携帯を操作している佐野をじっと見つめていれば、ほらよと彼は私に携帯を投げつけた。慌ててキャッチした携帯の画面には【お母さん】という表示があり、早く連絡入れろという無言の圧を彼から感じとる。
どうやら今日見知らぬ男子の家に泊まることは確定のようだ。
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knnk99(プロフ) - 累さん» 累様 嬉しいコメントありがとうございます。佐野くんカッコ良すぎますよね…あんな闇を抱えた男前なんとかしてあげたくなっちゃいますよね笑 のんびり更新ですが気長にこれからもお付き合いいただけましたら幸いです。ありがとうございます! (2021年8月24日 1時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
累(プロフ) - 作品読ませて頂きました。続編はこれからですが、私もマイキー大好きなので、これからの夢主ちゃんとの絡み楽しみにしています。 (2021年8月21日 17時) (レス) id: 755be2d6bc (このIDを非表示/違反報告)
knnk99(プロフ) - 麗さん» 麗様 ご指摘ありがとうございます!気がつきませんでした( ; ; )修正させていただきました!教えていただき、またお読みいただきとっても嬉しいです!ありがとうございます(^ ^) (2021年8月2日 18時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 48ページ 一ヶ所名前変換が出来ていないところありました。 (2021年8月2日 18時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柴咲華 | 作成日時:2021年7月17日 4時