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助けてくれてありがとね。そういえば佐野万次郎は「まだ、助けられてねーよ」そう言って笑った。その後特に会話は何も続かなかった。彼に聞きたいこととして浮かび上がっていたクエスチョンは今でこそ全く思い浮かばなくなり結局言葉になることはなく、彼も特に私に何を聞くわけでもなくひたすら私の頬を撫でる何とも奇妙な時間だった。これが付き合う男女なら、甘い雰囲気になってもおかしくはないのだろうけど、私と佐野万次郎はもちろんそんな関係でもないためそうはならない。ただただ、私を真剣な顔をしながらじっと見つめ、ひたすらに私の頬を撫でる佐野万次郎。私はそんな彼に対し特に抵抗もせず撫でられるだけ撫でられながらただその顔をじっと見つめる。ただ、それだけの時間だった。




そんな時、2人の空気を遮断するかのように2人きりの空間に無機質な携帯電話の呼び出し音が響き渡る。音の発信源を探せばそれはどうやら私のスクールバックからのようで佐野万次郎とともに視線だけを鞄へと向けた。取りに行きたいけれど、私に手を伸ばしている彼の手を払い除けて行くのはなんとなくできずどうしようかと悩む。すると察してくれたのか、手の感触が無くなり彼の手が離れたのだと理解した。


「A、携帯鳴ってるよ。でないの?」


「あ、でる、…」


「そういえばさっきから何度も鳴ってたわ」






彼は気を遣ってくれたのだろうか。ベッドに掛けていた腰を上げるとそのまままた元いたソファーに移動していった。彼が少し離れたところに行ったことを確認したところで、私の体もようやくベッド下に置いてあったスクールバッグへと向かう。着信音が切れてしまう前にと慌てて携帯を取り出し開いて画面を見てみると、そこには【三ツ谷 隆】の文字があった。その名前を見て、あ…やばい。そう思った。
…そうだ、そういえば私…約束してたんだった。



チラッとソファに移動した佐野万次郎を見ると私が起き上がった時にしてたような、立膝をついて頬杖をつきながらリラックスした表情でこちらをみていた。
何となく彼に見られながら三ツ谷くんの電話を受けるのは気まずい。これ部屋出ちゃダメかな…何て思うもそっちの提案の方が言いづらかった。仕方なく若干の気まずさを諦めて電話に出ることを決める。怒られるだろうか。おそろおそる通話ボタンを押すと着信音が鳴り止む代わりに、携帯越しからでもわかるくらいに、三ツ谷くんは空気を息いっぱいに吸いこんだ。

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設定タグ:佐野万次郎 , 東京卍リベンジャーズ , マイキー   
作品ジャンル:恋愛
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knnk99(プロフ) - 累さん» 累様 嬉しいコメントありがとうございます。佐野くんカッコ良すぎますよね…あんな闇を抱えた男前なんとかしてあげたくなっちゃいますよね笑 のんびり更新ですが気長にこれからもお付き合いいただけましたら幸いです。ありがとうございます! (2021年8月24日 1時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 作品読ませて頂きました。続編はこれからですが、私もマイキー大好きなので、これからの夢主ちゃんとの絡み楽しみにしています。 (2021年8月21日 17時) (レス) id: 755be2d6bc (このIDを非表示/違反報告)
knnk99(プロフ) - 麗さん» 麗様 ご指摘ありがとうございます!気がつきませんでした( ; ; )修正させていただきました!教えていただき、またお読みいただきとっても嬉しいです!ありがとうございます(^ ^) (2021年8月2日 18時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 48ページ 一ヶ所名前変換が出来ていないところありました。 (2021年8月2日 18時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柴咲華 | 作成日時:2021年7月17日 4時

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