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三ツ谷くんに触れられた肩が今でも熱い。まだ知り合って間もない私のために彼は真剣に私を助けようとしてくれていた。けれど、助けるってなんだろう…。助けるという言い方はまるで駿が悪人みたいな言い方だ。わかってはいる。女の子、いや…男女関係なしでも無闇矢鱈に暴力振るう人は最低だ。暴力振るう人は怖い。私を殴る駿は怖い。正直、駿が暴走族に所属しているなんて寝耳に水の話だし、今まで一緒にいて私にそんな素振りを駿は見せなかった。けれど全く気づかなかった私は結局駿のことを何も見ていなかったんだと思う。好きの感情はわからない。私が駿に対して抱いている気持ちは恋愛感情じゃないかもしれない。それでも…付き合ってからたくさん見てきた優しい彼、楽しかった思い出を思い返すとどうしても誰かに助けを求めるのは違う気がした。それが三ツ谷くんのいう「喧嘩で」だなんてもっての外だ。駿が暴走族だとかそうじゃないとかそんなことは関係なしに、暴力を振るわせてしまったのは私だ。自分の気持ち的にもう一緒にいれないことは十二分にわかっている。わかってはいるけど…やっぱり別れるにしても何してもこれは個人の問題で、私と駿2人で解決すべき問題のような気がした。
あの後、私はそっと自身の両肩にのる三ツ谷くんの手を取りおろした。「本当に大丈夫だから」何度も言った言葉を彼の目を見ながらしっかりと伝える。三ツ谷くんは全く納得いっていないような顔だったけど、そのまま私によって下された腕を一瞬引っ込めたあと私に向けて差し出した。手のひらを上にして親指以外の指を2回ほど折り曲げて。
「?」
「携帯」
「え?」
「携帯、貸して」
いきなりのことにポカンとしてしまったが、早くと急かすようにまた指で合図される。言われるがままにスクールバックに入れてあった携帯を取り出し、三ツ谷くんに渡した。受け取った彼は慣れた手つきで何かを打ち込むとパタン、携帯を閉じて私に返してくれる。
「?」
「連絡先、オレの入れておいた」
「え?いいの?」
「いいに決まってんじゃん」
「…ありがとう」
「何かあったら…いや、あってからじゃ遅いな。とにかくなんでも連絡して」
頭をガシガシとかきながらそう言った三ツ谷くんに、何度伝えても伝えきれないお礼の言葉をまた言った。
返された携帯を開き、電話帳を見ればそこにはしっかり彼の名前【三ツ谷 隆】の文字があった。
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knnk99(プロフ) - 累さん» 累様 嬉しいコメントありがとうございます。佐野くんカッコ良すぎますよね…あんな闇を抱えた男前なんとかしてあげたくなっちゃいますよね笑 のんびり更新ですが気長にこれからもお付き合いいただけましたら幸いです。ありがとうございます! (2021年8月24日 1時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
累(プロフ) - 作品読ませて頂きました。続編はこれからですが、私もマイキー大好きなので、これからの夢主ちゃんとの絡み楽しみにしています。 (2021年8月21日 17時) (レス) id: 755be2d6bc (このIDを非表示/違反報告)
knnk99(プロフ) - 麗さん» 麗様 ご指摘ありがとうございます!気がつきませんでした( ; ; )修正させていただきました!教えていただき、またお読みいただきとっても嬉しいです!ありがとうございます(^ ^) (2021年8月2日 18時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 48ページ 一ヶ所名前変換が出来ていないところありました。 (2021年8月2日 18時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柴咲華 | 作成日時:2021年7月17日 4時