Screw Driver【佐野万次郎】

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クラスメイトの奴らから詳しく聞けば、AさんのDV彼氏は雨宮 駿という男だった。以前一度Aさんと放課後いつもどおり一緒に帰ろうとしたところ、彼女を校門前で待っていたそいつと鉢合わせしたことがある。自分の所属する暴走族(チーム)は見た目からいかにも派手な風貌の奴らが多かったが雨宮はそうではなかった。どちらかといったら"優等生"という言葉が似合いそうな、見かけは爽やかな好青年。自分が今まで外見から判断されてきたこともあるから人を容姿で決めつけるのは好きじゃないが、不良とか暴走族とか、そういったアウトローな人種ではないような喧嘩なんて無縁で過ごしてきたかのような顔にアザひとつないやつだった。

話を聞けば聞くほど雨宮はきに食わない男だった。ただでさえ女に手をあげる奴ってだけでクソの極みの下衆野郎だとは思ったが、雨宮は暴走族(チーム)でもただ傍観して決して喧嘩の場おろか人前には出てこない奴らしかった。周りの人間を自分の駒のように扱い、気に食わない奴を半殺し、再起不能になるまで甚振って相手は女だろうが子供だろうが雨宮に目をつけられた奴の行き着く先は最終的にはみんな同じらしい。その矛先に今なっているのがAAという最近よく絡む同級生だった。ざっくり"雨宮"と言う男について同級生から聞き出した俺は、悩まずとも彼女を助けるための術を考えていた。暴走族が絡んでくるとなると、自分の属する暴走族(チーム)"東京卍會(とうきょうまんじかい)"を巻き込んでしまう可能性があった。かと言って俺個人で乗り込んだとしても最終的には東卍(トーマン)の連中に迷惑をかけないとも限らない。どうするか悩んだオレは一度総長であるマイキーこと"佐野万次郎"と、副総長であるドラケンこと"龍宮寺堅"に相談した。









「…三ツ谷がやりてぇならやればいいじゃん」


「え、そんな簡単に…マイキー本気か？関係ないお前らを巻き込むのは、」


「三ツ谷の喧嘩だろ？それは俺たちの喧嘩でもある。関係なくはねぇし、迷惑とか思う奴オレらの中にはいねぇだろ、なーマイキー」


「そういうこと。…それに、逆にオレはこの喧嘩を持ち込んでくれたお前に感謝してるくらいだね」


「感謝？どう言う意味だよマイキー」


「調べる手間も、探す手間も省けた。ちょうど良かったよ、オレも個人的にそいつのことはぶっ飛ばしたいって思ってたんだ」



マイキーはそう言って笑った。

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