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「…見たらわかると思うけど、オレんち貧乏なんだ。父親はいなくて母親だけ。母親はオレたち食わせるために仕事ばっかやってるから、オレはあいつらの親代わりみたいなもんでさ」
「さっきの主婦っぷりみたら、いつもやってるんだろうなとは思ったけどそういうことだったんだ」
「この環境に嫌気がさしたこともあったけど、それでもあいつらにはオレしかいないから」
「…うん」
「オレがあいつら守らないといけないんだ」
「……うん」
「…だからさっきはマナの怪我見た時つい頭に血が上っちまって、無理矢理Aさんを引っ張り込んじまったけど…本当にごめんな」
「…いやいやほんとに大丈夫だよ。だから頭上げて?」
「……正直わかってた。Aさんに避けられてること」
「…え?あの、私別に避けてたわけじゃ、」
「嘘つくなよ。きっとなんか理由があるんだって思ったよ」
「…………」
「本当は今オレといることも避けたかったよな?」
無理やりごめんな。そう言って彼はまた頭を下げた。
下げられた彼の頭部を見ながら思うことがある。彼は別に私に頭を下げなくてはいけないようなことは何一つしていない。私が周りの目を気にして無関係の彼を避けて、遠ざけてそんなことをしてしまってるから彼に変な心配をかけさせ、気を遣わせ頭を下げさせてしまっていた。三ツ谷くんは優しいから、私なんかのことを気にかけてくれている。そんな彼に対して失礼な態度をとっていたのは私で、謝らなくてはいけないのは私だった。
「謝らないで。……避けてたわけじゃないの。そうじゃないんだけど、三ツ谷くんと話すときっと三ツ谷くんに迷惑かけることになる」
「オレAさんに迷惑かけられたことねぇけど…」
「……でも、」
「今日学校でAさんと話した時、Aさんが話したくねぇなら仕方ないって思ったけど…やっぱ単刀直入に聞くわ」
「…っなにを、」
「………それ、彼氏だよな?」
「!」
「オレと関わりたくない理由ってそれ?」
再び向けられた視線は昼間学校で彼と話した時と同じように、私の腫れた頬に向けられていた。学校の時は私が言葉を遮れば、彼はそれ以上言葉を続けることはなかったが今回はどうやら違うように見える。そんな三ツ谷くんに何て答えていいかわからなくなり俯けば「…やっぱりそうなんだな」と彼は納得したように拳を握りしめていた。
「…オレ、Aさんの為に何が出来る?」
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knnk99(プロフ) - 累さん» 累様 嬉しいコメントありがとうございます。佐野くんカッコ良すぎますよね…あんな闇を抱えた男前なんとかしてあげたくなっちゃいますよね笑 のんびり更新ですが気長にこれからもお付き合いいただけましたら幸いです。ありがとうございます! (2021年8月24日 1時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
累(プロフ) - 作品読ませて頂きました。続編はこれからですが、私もマイキー大好きなので、これからの夢主ちゃんとの絡み楽しみにしています。 (2021年8月21日 17時) (レス) id: 755be2d6bc (このIDを非表示/違反報告)
knnk99(プロフ) - 麗さん» 麗様 ご指摘ありがとうございます!気がつきませんでした( ; ; )修正させていただきました!教えていただき、またお読みいただきとっても嬉しいです!ありがとうございます(^ ^) (2021年8月2日 18時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 48ページ 一ヶ所名前変換が出来ていないところありました。 (2021年8月2日 18時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柴咲華 | 作成日時:2021年7月17日 4時