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「こらマナ!消毒するから座れ!…あ、ルナ!手洗ったらタオル取って!」
「……」
「おいマナじっとしとけよ。菌が入ったらもっと痛いんだぞ。すぐ終わるから我慢、な?」
「……」
「おにいちゃーん、タオルー」
「おーありがとな!よし、じゃあ次はお姉さんにお茶出して」
「はーい!」
「……三ツ谷くん」
「ん?どうした?」
「あ、あの本当にお構いなく…」
今私は三ツ谷くんのお家に何故だかお邪魔している。彼が家から飛び出してきた時にいつ誰にこの光景を見られるかわからない、そんなことが頭によぎった私は速攻で姉妹を彼に引き渡し帰るつもりだった。けれど、愛する妹が遅い時間に帰ってきて、しかも怪我をしているというバットニュース付き。そんな状況なのに黙っていられるような人では彼はなかった。「Aさん、悪いんだけど話聞かせてくれねぇか。あ、でも先にこいつの手当てやりてーから…狭くて汚ねえけど…とにかく上がって」早口で淡々と言う彼に、拒否したくても拒否することができなかった。駿のことが脳裏によぎり断ろうと頭の中では思っていても、心配しすぎて表情がどんどん険しくなる彼を見たら断ることなんてできず、「お邪魔します」と頭を下げ今こうして彼の家で正座をして彼の主婦っぷりを見学中である。
「おねえちゃん、どうぞ!」
「わ、ルナちゃんありがとう」
彼女の普段使ってるコップだろうか。可愛らしいシールがたくさん貼られた子供用のカラーコップだった。そのコップ並々に注がれたお茶をこぼさない様にゆっくり私の前へと運んでくれたルナちゃんにお礼を言った。三ツ谷くんが消毒を始めようとしてからずっと耳に入っていたマナちゃんの泣き叫ぶに近い声はいつのまにか止んでいて彼らの方に目を向ければ、どうやら消毒は終了したようで彼女の足には私のハンカチの代わりにおっきめの絆創膏が1枚貼られ、彼は救急箱をパタンと閉じると元あった場所にしまいに行った。
「よし、ルナ。兄ちゃんたち話あるからマナと部屋で遊んでな」
「いやだ!ルナおねえちゃんと遊ぶ!」
「マナも!マナも遊ぶ!」
「え、可愛すぎるんだけど…何?天使?」
「Aさん、すっかり好かれたな。」
「えー好かれる様なこと何もしてないのに…でも嬉しい」
「こいつらはそもそも美人が好きなんだ。だから最初からAさんは好かれてる、手遅れだな。」
そう笑いながら言う彼の言葉で顔面に熱が全集中したのがわかった。
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knnk99(プロフ) - 累さん» 累様 嬉しいコメントありがとうございます。佐野くんカッコ良すぎますよね…あんな闇を抱えた男前なんとかしてあげたくなっちゃいますよね笑 のんびり更新ですが気長にこれからもお付き合いいただけましたら幸いです。ありがとうございます! (2021年8月24日 1時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
累(プロフ) - 作品読ませて頂きました。続編はこれからですが、私もマイキー大好きなので、これからの夢主ちゃんとの絡み楽しみにしています。 (2021年8月21日 17時) (レス) id: 755be2d6bc (このIDを非表示/違反報告)
knnk99(プロフ) - 麗さん» 麗様 ご指摘ありがとうございます!気がつきませんでした( ; ; )修正させていただきました!教えていただき、またお読みいただきとっても嬉しいです!ありがとうございます(^ ^) (2021年8月2日 18時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 48ページ 一ヶ所名前変換が出来ていないところありました。 (2021年8月2日 18時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柴咲華 | 作成日時:2021年7月17日 4時