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あれからしばらくが経った。そしてあれから駿は今まで私が見ていた駿が嘘だったかのように人が変わった。実際今の駿が本当で、今まで私が見ていた駿が嘘の駿だったのかどちらが本性なのかはわからないけど、とにかく私が知っている駿ではなくなって私は本格的に駿が怖くなった。
あの日から駿が怖くなって三ツ谷くんの所にも顔を出せなくなった。私に向けるあの強い目が、力強い腕の感触が忘れられない。駿に何を言われるかわからないため家庭科室に行かなくなった私を心配した三ツ谷くんは、私を訪ね屋上へと呼び出した。
「Aさん」
「あ…三ツ谷くん…」
「オレ、Aさんくるのずっと待ってたけど来なくなったよな」
「…………」
「急にどうした?」
「あ……あの、ごめんね…色々、忙しくなっちゃって」
「いや、オレはいいんだけど。Aさん頑張ってたから気になってさ。けど、連絡先もそういえば知らなかったし、だから今日は聞きにきたんだ」
「そうだよね…ちゃんと私から言いにいくべきだった。本当に急にごめんなさい」
「……Aさん謝ってばっかだな。本当に気にしなくていいけどエプロンちゃんと出来た?お母さんに渡せたか?」
「……うん、ちゃんと出来たしお母さんもすごく喜んでくれた」
「…そっか、それならよかった」
「…っ…あ、あの…せっかく教えてくれてたのに、ちゃんとお礼も言えないままで、何て謝ったらいいか…」
「いやいいって、気にしなくて。ちゃんと出来たのかが気になってただけだから」
「…三ツ谷くんは本当に優しいね…。ありがとう」
「別に優しくないよ。オレ結構楽しかったんだ。Aさんと放課後作業一緒にやるの」
「うん…私も楽しかったよ。三ツ谷くんとくだらないことお喋りしながらやるの」
「ハハッ!くだらないは余計だ」
「そうかな?くだらない話が楽しいって大事だよ」
「そっか。じゃあくだらない話ついでにもう一個気になってたことがあるんだ。聞いてもいいか?」
「え?なに…?」
「答えたくなかったり答えられないなら答えなくていいけど…
…それ、どうした?」
三ツ谷くんは、少し怒ったような表情で目線だけを私の左頬へと向けた。咄嗟に左で頬を隠すように包み込む。うまく答えられなくて何も言えない私に三ツ谷くんは「誰にやられたの?」いつもより少し低い声のトーンだった。
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knnk99(プロフ) - 累さん» 累様 嬉しいコメントありがとうございます。佐野くんカッコ良すぎますよね…あんな闇を抱えた男前なんとかしてあげたくなっちゃいますよね笑 のんびり更新ですが気長にこれからもお付き合いいただけましたら幸いです。ありがとうございます! (2021年8月24日 1時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
累(プロフ) - 作品読ませて頂きました。続編はこれからですが、私もマイキー大好きなので、これからの夢主ちゃんとの絡み楽しみにしています。 (2021年8月21日 17時) (レス) id: 755be2d6bc (このIDを非表示/違反報告)
knnk99(プロフ) - 麗さん» 麗様 ご指摘ありがとうございます!気がつきませんでした( ; ; )修正させていただきました!教えていただき、またお読みいただきとっても嬉しいです!ありがとうございます(^ ^) (2021年8月2日 18時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 48ページ 一ヶ所名前変換が出来ていないところありました。 (2021年8月2日 18時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柴咲華 | 作成日時:2021年7月17日 4時