… ページ12
「駿……どうしたの?」
「Aの事待ってた」
「え?今日も一緒に帰れないって伝えたよね?」
「それは聞いたけど……」
私は三ツ谷くんと並び、少し距離が空いた先には俯きながら静かな声で話す駿がいる。少し距離が空いているのもあるし、珍しく小さな声でボソボソと話す駿の声は一生懸命耳を傾けないと聞き取れないなんとも覇気のない声だった。
「Aさん、彼氏?」
「あ、うん…」
「そうか。それなら今日は送らなくて大丈夫そうだな」
3人の間に流れる少し気まずい空気を感じてか三ツ谷くんは「ちゃんと送ってもらってな」そう言いながらさっき向かおうとしていた方向の逆方向へと去っていく。「あ、ごめんね三ツ谷くん!今日もありがとう!」去っていく後ろ姿に少し大きな声を投げ掛ければ、手を挙げてひらひらと振ってくれた。
私と三ツ谷くんの家は逆方面だというのに、どれだけ1人で歩ける時間帯であっても毎日家まで送り届けてくれて、今日もそうしようとしてくれていた。けれど駿がいたことによってきっと頭のいい三ツ谷くんはすぐ去ってくれたんだ。
なんだか気を使わせて悪かったなと思いながら未だ俯きがちに立っている駿に近付いていく。
「どうしたの?何かあった??」
「…どうしたって…彼女が毎日毎日他の男といたら我慢も限界に達するだろ」
「え?だってそれはきちんと理由話したよね?」
「あぁ、聞いた」
「それなら、」
「でもそんなことは関係ない。何であんなクソ迷惑な不良と毎日一緒に帰ってんの?一緒に帰る必要なくね?」
彼のその言葉を聞いて自分の眉間に皺が寄るのが鏡を見なくたって分かった。いつも優しい駿が「クソ」だなんて汚い言葉を吐き、ましてや厚意で私に優しくしてくれていた三ツ谷くんのことを悪くいうような発言…納得がいかない。
「ちょっとまって、三ツ谷くんは悪くない。彼を悪く言わないで」
「は?」
「三ツ谷くんはこの辺は変な人たちも多いし遅い時間帯じゃなくても女の子の1人歩きは危ないって彼の優しさで家まで送ってくれてたの。なのにそれを見た目だけで判断して悪く言って欲しくない」
「………何?何であいつのことなんか庇ってんの?」
「違うよ。庇うとかそういう話じゃない。そうじゃなくて私はただ親切にしてくれてる三ツ谷くんに対してそんな事言ってほしくないだけ」
「いや、違うのはお前だろ。お前明らかに俺よりあいつ優先して、あいつの味方してんじゃん!!」
90人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
knnk99(プロフ) - 累さん» 累様 嬉しいコメントありがとうございます。佐野くんカッコ良すぎますよね…あんな闇を抱えた男前なんとかしてあげたくなっちゃいますよね笑 のんびり更新ですが気長にこれからもお付き合いいただけましたら幸いです。ありがとうございます! (2021年8月24日 1時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
累(プロフ) - 作品読ませて頂きました。続編はこれからですが、私もマイキー大好きなので、これからの夢主ちゃんとの絡み楽しみにしています。 (2021年8月21日 17時) (レス) id: 755be2d6bc (このIDを非表示/違反報告)
knnk99(プロフ) - 麗さん» 麗様 ご指摘ありがとうございます!気がつきませんでした( ; ; )修正させていただきました!教えていただき、またお読みいただきとっても嬉しいです!ありがとうございます(^ ^) (2021年8月2日 18時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 48ページ 一ヶ所名前変換が出来ていないところありました。 (2021年8月2日 18時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:柴咲華 | 作成日時:2021年7月17日 4時