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初めて会ったのは多分、僕が日本に帰国した直後だった思う。7歳だった。
「初めまして、加賀美インダストリアル次期社長の加賀美隼人と申します」
「おや、君が加賀美の次期社長なのかい?頼もしそうな子だなぁ」
「ありがとうございます。…後ろのお子様は?」
「あぁ、うちの次男でな。ほれ、挨拶しなさい」
『お初にお目にかかります、風間家次男の風間瞬と申します。以後、お見知り置きを』
「瞬さん、ですか。よろしくお願いします」
初めて会った彼は今とあまり変わらないけど、今より少しだけ声が高くて、少しだけ子供っぽい顔をしていた。
「瞬、父さんは少しだけ挨拶に行ってくるから、待っててくれるか?」
『わかりました。いってらっしゃいませ』
父が挨拶回りに行ってしまい、1人放置された僕にどうして声をかけてくれたのか、今でも疑問に思っている。
「瞬さん、少しお話し相手になってくださいませんか?」
『?加賀美、さん?』
「ふふ、はい。加賀美です、良ければで構いませんので、いかがですか?」
『私で良ければ、ぜひ』
手持ち無沙汰だった僕は彼の誘いに頷いた。
「…瞬さん、お答えにくいことであれば構わないのですが、その髪色は地毛、なのですか?」
僕のことを不躾にならない程度に見つめ、そう切り出した彼は少し気まずそうだった。
『(やっぱり聞かれたか)はい、そうです。母方の祖母がこの髪色にこの瞳でして、隔世遺伝だとお医者様には言われました。』
僕の母方の祖母はイギリス人で、“白髪に透明な瞳”と特殊な人だった。日本に来て以来、奇異の目に晒されていた僕は聞かれて当然だと何事もないように答えた。
「そうなのですか…!ふふ、すみません。あまりに美しくてつい聞いてしまいました。もっと近くで見てもよろしいですか?」
『え、美しい、ですか?』
「?えぇ、勿論。白髪って世界でも稀なのでしょう?本当に綺麗ですね。サラサラと透き通っていてつい触りたくなってしまいます」
さも当然、と言うように軽々しくそう言うから、僕はつい照れてしまった。
『ありがとう、ございます』
「ふふ、可愛らしいですね。…あっ、お父様が戻られましたよ。瞬さん、またお会いしましょうね」
「…くん。ユンくん。シユンくん起きて!」
「?あれ、僕いつのまに?はぇ、シオンさん?…あっ!!すみません、私!」
「ふふ、大丈夫だよ、まだ時間にはなってないから。何か夢でも見てた?」
「え、あぁ。懐かしい夢を少し」
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作者名:knn | 作成日時:2023年5月4日 21時