29.ぼくらの勇気未満都市2017 ページ3
作戦決行の前に、やり残したことがあると、ヤマトはその日、自身の生徒の前で、
20年前の幕原でのことを語った。
そして、それはネットゲームをしていた高木にもライブ配信で送られていた。
「君らが生まれる少し前の話だ、君たちと同じように受験を控えた高校生だった先生は、
隕石が落ちた直後の幕原に入った、親友がいたんだ、隕石に付着していた微生物でそこにいたすべての大人が死んだ、先生自身も感染して現地の少年たちと一緒に隔離された。
食べるもの満足にない、明日がどうなるのかもわからない中毎日死に物狂いで生きた。
理不尽なこともたくさんあったけどでも、今までにないぐらい笑いもした。
いつもそこには、仲間がいた。あの時、幕原に行ったことを後悔してはいない、
沢山の事を経験したし、なによりもかけがえのない仲間に出会えた無念にも死んでしまった奴もいたけど……彼らの生き方からたくさんのものを貰った彼らと、そして生き残った328人は先生にとって20年たった今でも目に見えない絆で結ばれた一生の仲間だ」
ヤマトの話を聞きながら、モリやアキラに想いを馳せるタケル。
「見とるか……モリ」
「でも、そのおかげで浪人もしたあの頃なりたかったものにももう慣れないかもしれない、
そんな人間がキミたちに対して、目標を定めて最短最速でなんて偉そうに進路指導してんの、
おかしいよな、そんなこと言う資格なかったんだ、本当に申し訳ない……。
願わくば、君たちにも今しかできない事をやってほしい、今好きなことを今目の前にあることを精一杯やって今この瞬間を生きてほしい、そういう一つ一つの事がつながって未来になる、
先生はそう思う」
「先生、辞めちゃうの?」
「やるだけだ、今しかできない事を……」
タケルも、ヤマトの話を聞いて、アキラに電話をかけて言う。
「あらためてやけど、328人の内の一人って、知らん奴に話しすんの勇気いるよな。
せやけど、ヤマトの話聞いて328人の一人でよかったなって思ったわ、まぁ、そう思わせんのがあいつの役目なんかな、あいつ俺らのリーダーやからな、
まぁ、俺もこんなんやけど、まぁこんなんやから、
あの約束、チャレンジしてみようと思うわ……
お前も来ぇへんか?五年前すし屋でばったりおうてへんかったら人生どうなっとったか……
ほんまに、ありがとう」
返事のない電話を切るタケル。
そして、作戦決行の日……。
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結城綾(プロフ) - Karinさん» Karinさんコメントありがとうございます。私もKinkiKidsの大ファンで、自分の中での最大限甘い光一くんをイメージ壊さないように書けていたらいいなと思っているんですが、楽しんで読んでいただけて本当に嬉しいです、これからもよろしくお願いします。 (2023年4月3日 20時) (レス) id: c0d3918841 (このIDを非表示/違反報告)
Karin(プロフ) - KinKi Kidsの大ファンなんですがキンキの夢小説を書いてくださる方がそこまで多くないのでこのお話を見つけた時すごく嬉しかったです。いつも更新を楽しみに過ごしてます。このお話大好きなのでこれからも頑張って下さい! (2023年1月7日 0時) (レス) id: 9e7f4b97d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:結城綾 | 作成日時:2022年12月7日 12時