月曜日21時のヒロイン【R.S】 (ページ40)

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ryuto

あれから、着実にドラマの撮影は進んだ。

俺も、作ちゃん良くなったね！なんて
監督から言われるくらいまでには
『駿』という役に慣れてきた。

綾瀬さんも、現場に慣れてきたのか
最近よく他の共演者の方と
話しているところを見るようになった。

そのおかげで、少し話すことが
減ったような気がしなくもないけど。

綾瀬さんの笑顔が増えたから、
良いことだと思うことにした。

次は、少し切ないシーンだ。

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「"…っ、うぅっ…”」

1人で、泣いている光。

「"ったく、何泣いてんの？”」

光に彼氏ができて以来、
距離を置いていた駿が光のもとへ駆けつける。

「"……駿？”」

「"こんなとこいると風邪ひくから。
帰るぞ。”」

「"…駿は、私が苦しいときに、
泣いてるときにいつでも来てくれるね。
私の、ヒーローみたい。”」

「"……何言ってんの。”」

「"…駿。ありがとう。”」

「"……いつまでも大人しくヒーローで
いる気はないから。”」

「"ん？なんか言った？”」

「"んーん。何にも。早く行くぞ。”」

「カーット！オッケー！いいね！」

監督の声が響く。
よっしゃ、一発OKが出た。

よかったぁ、なんてホッとした顔で
横で綾瀬さんが呟く。

綾瀬さんと話す機会は少し減ってしまったものの、
前より壁は無くなってきた気がする。

ほんの少しの前進だ。

撮影も終わり、楽屋へ戻ろうとしたとき
綾瀬さんの声が聞こえたから少し耳を澄ます。

「Aちゃん！今日こそご飯いこーよー！
吉田さんも来てくれるから行こうよ～。」

吉田さんとは、芸能界歴30年以上の
大御所の俳優さん。

綾瀬さん演じる、光の父親役の人だ。

そして、綾瀬さんを誘うのは、
藤原恭平さん。

Aちゃんって呼んでるんだ、と変なところで尊敬する。

「…吉田さんが来るんですか？」

「そうそうー！吉田さんがご馳走してくれるの！
俺、Aちゃんも呼んでいいですか？って聞いたら是非、って言ってたから…どうかな…？」

「吉田さんが是非って言って下さってるなら…。」

綾瀬さん、ご飯行っちゃうのかなぁ。
何かちょっとモヤモヤして、
これ以上聞きたくなかったから、
楽屋に戻って急いで荷物を取る。

周りのスタッフさんや共演者の方に
お疲れ様です！と挨拶をすると、急いでその場をあとにした。