月曜日21時のヒロイン【R.S】 (ページ29)

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ryuto

「"ねぇ、駿。私彼氏出来たんだ。”」

綾瀬さんはまるで恋する女の子の表情で。
俺はぼーっと、また見つめてしまう。

「"ね～駿？聞いてるの～？？”」

指で頬をツンツンされる。
完全に台詞言うの忘れてた…。
アドリブで綾瀬さんが助けてくれた。

「"き、聞いてる聞いてる！
よかったじゃん！おめでとう！”」

ずっと好きだった女の子に、
彼氏が出来たと報告される駿。

「"でね？すっごい優しいの！
今度の日曜日もデートするんだぁ。
服決まらないから駿の力貸して！！”」

嫌だ、デートなんて行かないで、
なんて言えず、うん、いいよ、って言う事しかできない。

「"やっぱり駿は優しいね。
持つべきものは駿だね！なんちゃって！”」

イヒヒなんて効果音が似合いそうな
笑顔で光は駿の、髪をグシャッとする。

「カット～！」

監督の声が響く。

「いいねぇ、2人とも。やっぱりいいよ。
綾瀬ちゃんのアドリブもすごくいい！」

「あ、ありがとうございます！」

また、綾瀬さんに助けられちゃった。
俺って頼りね～、なんて少し自己嫌悪。

「さっきはありがとうございました。」

セット入れ替えの少しの時間に
綾瀬さんにお礼を言いに行く。

「全然大丈夫だよ、私もたまにあるから。
そのときは助けてね。」

俺の失敗ばっかりの今日だけど、
少し綾瀬さんのことをしれた気がする。

いつもより、話せた気がする。

でも同じ失敗は絶対しないようにしないと…。
改めて自分に喝を入れ、台本を確認する。

次は駿の切なすぎるシーンだ。