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母「A〜、今日はお父さん休みだし動物園行こっか!」

「動物園!?やったー!!!」



5歳の頃、土日もほぼ仕事で休みのなかった父がたまたまとれた休みの日、家族3人で動物園に行くことになった



数ヶ月ぶりの家族揃ってのお出かけに、私はとてもワクワクしていた







父が運転、母が助手席、私はチャイルドシートには座らず運転席と助手席の間から景色を見ていた


母に何度もちゃんと座りなさいと注意されてたけど、興奮していた私が素直に言うことを聞くはずもなかった





あと数kmで動物園に着くという時だった



「「危ないっっ!」」


その父と母の声と同時に、父が私を思いっきり後ろに押した



何が起きたのかよく分からなかった

でも、そんな私に考える隙もなく、ドンッという大きな音とともに車が大きく揺れた


私はその衝撃で扉に頭を打って気を失ってしまった






何が何だか分からなかった


だから、気を失う前に見えた血まみれになった父と母の姿は夢だと思った


いや、夢だと思いたかった





.





父と母の葬儀はあっけなく終わった


本当は婚約者がいた母と父はほぼ駆け落ちだったようで、母方の祖父と祖母は最愛の娘が亡くなったというのに涙も見せなかった

私とも目を合わせようともしなかった



2年前に亡くなった父方の祖母、そのショックで持病が悪化し入院生活になった祖父、祖父は葬儀に参加することも出来なかった




「Aちゃん、明日からはおじさんと暮らそう」


母の弟の圭介おじさん
おじさんは毎週1回は家に来て私と遊んでくれていた


私はそんなおじさんが大好きだった

母も、両親の厳しい教育に心が折れた時、おじさんの笑顔に救われていたらしい


一人っ子の父も、毎週来るなよと言いながらもおじさんと本当の兄弟のように接していた





最高な1日になるはずだったのに、一瞬で最悪な1日になった


忘れたい、けど忘れられない


父と母が守ってくれたこの命、何度も終わらせようと思った



「Aちゃん、だめだよいなくなったら。だって、いなくなったらおじさん1人になっちゃうもん」

笑いながらそう言ったおじさんの目は、悲しそうだった



父と母が何度も言ってた言葉


__この人を守りたいって思える人、Aにもきっと現れる。その人といれば幸せになれるから、どうしようもなく辛くなった時、ちょっと立ち止まってみて__








現れるまで、終わらせるのは待ってみようかな

.→←Prologue



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作者名:高菜 x他1人 | 作成日時:2023年1月22日 23時

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