78.おかえり ページ39
「もういいかい」
「…もう、いいよ」
かくれんぼのように尋ねて、抱きとめていた体をようやく離す。女神の私は少し下を向いて、けれど表情が見えないわけじゃなくて。恥ずかしそうに顔を赤らめていた。
その頭を思いっきり撫で回してやる。結ばれていた髪がほどけパサリと落ちる。
「な、な、なにっ！？」
怒りと焦りと羞恥心。それを足して割った顔で私に詰め寄る。
おかしくておかしくて、「ぷっ」と吹き出す2つの声がする。そうだ、後ろにもいた。
くるりと振り返り、にっと笑いかける。
「悪くないでしょ、こんな私…も……あれ？」
「まぁ、な」
清々しい笑みを見せた魔神の私の姿に驚く。
翼がないのはもう戦う意味がないから。それはわかる。
けれどそれは…
「右眼、どうしたの…？
魔神の証である闇色の片方が、本来の私である朱色に変わっていた。瞬間、身体に若干の違和感を覚える。
魔神の私はそれには答えず、視線で合図を送った。
そっちを見ろ、と。
「…あ」
パチリと合った眼の片方。左眼が、私のそれに変わっていた。
いつか、意識が朦朧としていた時の自分と重なる。今は考えちゃダメだ。ブンブン首を振った。
――――グラッ…
「へ…っ！？」
突然、空間内が再び揺れ始めた。そして私含め3人の身体が宙に浮く。
自分で跳ばずの浮遊感はなんだか恐ろしく感じた。
「ちょちょちょ、なんだ！？」
混乱しているのは私だけみたいで、あとの二人は冷静に、ぼんやりと、この現状に身を任せていた。
そして指先から身体が透けていく。感覚が麻痺してきて、自分で動くことさえままならない。
これあれか？死者の都みたいな、だとしたら……
「…帰るんだろうが」
ぶっきらぼうな声。首も回らなくなったのでその声に耳を傾ける。
「一緒に、…だったよね」
うん、そうだね。一緒に、みんなのところに。
不安そうな声だけど、大丈夫かな。…ううん、大丈夫。怖くないよ。
目の前が淡い光に包まれて、ああもうすぐだってわかった。眩しくなって目を瞑る。
何も聞こえなくなった。何も感じなくなった。だけど全然こわくやくて。
一瞬途切れた意識の中、最後に小さく、聞こえた気がした。
“ただいま”
おかえりなさい。
――――
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リオ(プロフ) - ウォンさん» お久しぶりー！ありがとうね〜！！ (2020年7月9日 21時) (
レス) id: 0673ec93e1 (このIDを非表示/違反報告)
ウォン(プロフ) - りおちゃん！！、！久しぶり！！私もまだ生きてます！応援してるね！！ (2020年7月9日 11時) (レス) id: 76603ce61b (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - 瑞樹さん» ゆっくりですけど、また書けていけたらいいなと思います。 (2020年7月9日 7時) (レス) id: 0673ec93e1 (このIDを非表示/違反報告)
瑞樹(プロフ) - まさかまた戻ったきてくれたなんて………！これからも応援してます！ (2020年7月8日 21時) (レス) id: fb3dbf3e6d (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - みかやしさん» ありがとうございます。本当にもう、気長に待っていてください… (2020年7月8日 20時) (レス) id: 0673ec93e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リオ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/rio1001/
作成日時：2018年7月6日 15時
