74.私であること ページ35
――――――
暗い暗い闇の中。私の両手は暖かかった。
左は子供みたいに小さな手。なのにたくましく鍛えられていて、私の手全体を包み込む。
右は細くて綺麗な手。女の子だろうか。指が可憐で小さくて。気をつけないと怪我させちゃう。
ひとりぼっちのこの場所で、私は不安も不満もなくて。この２つの暖かさを堪能していた。
さっきまで何をしてたっけ。
…そうだ、私は試練をしてたんだ。オモチャ…なんて言って、自分を傷つけていた。
(クリア、できるわけない…)
自分を愛していないから。
たったそれだけの理由で私は、私を殺さなくてはならない。そんな勇気はないし、覚悟も対価も、私なんかが背負えるわけないじゃないか。
愛していなくとも憎くはない。殺したいほど嫌いなわけがない。
だって、私が愛していなくたって…
『A』
君たちが私を、好きでいてくれるんだから。
嫌いなわけないじゃないか。
じんわりと左手が暖かさを増す。懐かしく、小さな声に耳を傾ける。
『俺は…三千年前から愛してる。信じてるから』
『だからどうか、お前でいてくれ』
私でいること。
求められるものは、魔神でもなく、女神でもない。
私――Aだ。
『あなたは私の大切なお友達…親友よ。だから、あなたでいてください…』
『どうか消えないで、消さないで』
『私たちはみんな、あなたが大好きです』
闇も光も拒むことなく、私であれ。
想像すること、不死鳥であることを恐れるな。
私たちは、ひとりぼっちじゃないんだよ。
泣いたっていい。怒ったっていい。壊れそうになったって、仲間がいる。
だから……
「…帰ろう、みんなで」
ぬくもりを閉じ込めるように両手を握り、目を開けた。
そこには苦しそうな魔神と女神の姿。体には所々傷があり、何かで思い切り押し潰されたような跡。
痛々しい姿に思わず逸らしたくなったが、これは私のやったこと。目を細めて彼女たちを見やる。
そして、彼女らが何か言う前に再び目を閉じ…想像した。
申し訳なさと罪悪感を抱きつつ。成功するよう願いながら。
「“健やかなれ”」
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リオ(プロフ) - ウォンさん» お久しぶりー！ありがとうね〜！！ (2020年7月9日 21時) (
レス) id: 0673ec93e1 (このIDを非表示/違反報告)
ウォン(プロフ) - りおちゃん！！、！久しぶり！！私もまだ生きてます！応援してるね！！ (2020年7月9日 11時) (レス) id: 76603ce61b (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - 瑞樹さん» ゆっくりですけど、また書けていけたらいいなと思います。 (2020年7月9日 7時) (レス) id: 0673ec93e1 (このIDを非表示/違反報告)
瑞樹(プロフ) - まさかまた戻ったきてくれたなんて………！これからも応援してます！ (2020年7月8日 21時) (レス) id: fb3dbf3e6d (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - みかやしさん» ありがとうございます。本当にもう、気長に待っていてください… (2020年7月8日 20時) (レス) id: 0673ec93e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リオ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/rio1001/
作成日時：2018年7月6日 15時
