68.自分を殺すこと ページ29
嫌な汗が一滴、頬から首筋へつたる。
目の前の女神も背後の魔神も武器を下げることなく私を怪しい笑みで眺めていた。
改めて現状を確認する。
両者とも赤茶色の髪。それが白みがかっているか黒みががっているかの違い。それを一つに束ねている。
瞳は片方はそれぞれの種族のもの。が、もう片方は妖しく美しく朱色を輝かせていた。
今一度思う。自分に殺されかけている。
戸惑うが冷静を装う。ここは試練の場だ。何が起こっても不思議じゃない。…と思う。
そう言い聞かせ納得したところで、頭に浮かんでいたことがポロッとこぼれ出た。
「…性格悪っ」
「あ？」
「…へぇ〜？」
魔神は眉を寄せいかにも不機嫌そうに、女神は興味深そうに微笑みながらもやはり苛立った様子だった。
果たして自分は、敵に不意打ちした挙句脅迫するほど性格が捻じ曲がっているだろうか。
自分で言うが私は【いい性格】をしている。嫌味ったらしく口角を上げながら、こんな風に言うことが多いのだ。
「あれ、聞こえなかったかなあ……性格クッソ悪いねって言ったんだよ？」
そして思い切り正面の女神に頭突きを喰らわせ、背後の魔神には肘で鳩尾を殴ってやった。
ね、いい性格してるでしょ？おかげで拘束から逃れられたし。
女神は額を押さえながら自身の傷を癒し、魔神は闇でガードしていたのか平然と立っていた。
この空間にはそれぞれ異なる自分しかいない。なんだこのシュールな絵面は。
「私は二人に分裂してまで相手を討つ気はないよ？そんなあやしーい笑顔なんてしたことないもん」
本当に。どこでそんな顔を覚えてしまったんだろう。
「さて、教えてもらおっかな。いきなり攻撃してくるのは無しで。この試練の内容とクリア条件。教えてくれるよね？」
「“やだ”って言ったら？」
どこか試すような口調で魔神は言う。
「ぶん殴って教えさせる」
「それじゃあ無理だと思うよ〜？」
私を嘲笑うように女神は言う。
「この試練はそんな甘いもんじゃない」
「だけどとっても簡単」
「この試練のクリア条件」
「それは私を――――殺すことなのだから」
二つの同じ声が重なり合い、私の耳へ、脳へ、伝わる。
殺す、ころす……そうなのか。案外ストンと収まるものだな。戦いが続きすぎて感覚が麻痺しているのかな。
それともそれが、自分だからかな。
「な、簡単だろ？」
「だって貴方は自分を愛さない」
「そんなお前がどうして」
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リオ(プロフ) - ウォンさん» お久しぶりー！ありがとうね〜！！ (2020年7月9日 21時) (
レス) id: 0673ec93e1 (このIDを非表示/違反報告)
ウォン(プロフ) - りおちゃん！！、！久しぶり！！私もまだ生きてます！応援してるね！！ (2020年7月9日 11時) (レス) id: 76603ce61b (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - 瑞樹さん» ゆっくりですけど、また書けていけたらいいなと思います。 (2020年7月9日 7時) (レス) id: 0673ec93e1 (このIDを非表示/違反報告)
瑞樹(プロフ) - まさかまた戻ったきてくれたなんて………！これからも応援してます！ (2020年7月8日 21時) (レス) id: fb3dbf3e6d (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - みかやしさん» ありがとうございます。本当にもう、気長に待っていてください… (2020年7月8日 20時) (レス) id: 0673ec93e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リオ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/rio1001/
作成日時：2018年7月6日 15時
