ai of tea/ izw ページ10
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紅茶にハマっていると、聞いたから。最近＿＿といってもここ半年くらいのことだろうか＿＿拓司くんの家に行くと、紅茶が置いてあることが多くなった。自炊をしない彼が家でお茶を淹れることに驚いた。
｢意外だね｣
私がそういうと、彼はカップを持ち上げてニヤリと微笑んだ。
｢そう？｣
不覚にもティーカップが似合うなあなんて思ってしまって、ほんの少しだけ悔しかった。…かっこいいのは、ずるいから。
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｢で＿＿＿＿＿＿、これ何？｣
私が紙袋をテーブルに置くと、拓司くんは興味津々に私の顔を覗き込んだ。
今日は時間があるから、とわざわざ忙しい中私の家に来てくれて、だったらと用意したのがこれだった。
｢問題。この中身は何でしょう｣
悪戯っぽく彼を見つめてみる。ちょっとしたクイズのつもりだったのに、彼は真剣に悩み出した。唇を真一文字に結んで、腕まで組んで。
｢袋が軽いから…お菓子だろ｣
どうだ、と言わんばかりのドヤ顔で、自信たっぷりに私を見つめた。甘いなあ拓司くん。わざとらしいくらい勿体ぶってから、私はそっと紙袋の中身を取り出した。
｢工芸茶でした、どう？｣
工芸茶。丸い茶葉の中に花が入っていて、お湯を注ぐと花が開く可愛いお茶だ。彼の好きな紅茶とは少し違うけれど、見た目が可愛らしくてつい買ってしまったのだった。
｢ふーん｣
気に入ってくれるかと思ったのに、彼の返事は素っ気ない。気に入らないならわたしが一人で飲むもん。
沸かしておいたケトルのお湯を注ぐ。花が開くのを見たくて、わざわざ購入したガラスのポット。ゆっくりと、薄紅色の牡丹の花が開いていくのに目を奪われる。
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作者名：エリッサ | 作成日時：2021年1月7日 19時
