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想色、添う色/kwmr ページ35

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2週間くらい、忙しい日々が続いていた。年度末だということもあって、立て込んでいたのだと思う。だから、拓哉さんと会うことも出来ていなくて。

今思えば、2週間も連絡が来ない時点で彼の家に行くべきだったのだ。きっと彼も忙しくて連絡する暇もないんだろうな、なんて思っていたけれど、私はもう少し慎重になるべきだった。




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その日は全く仕事が終わらなくって、これは終電コースだと諦めた日だった。コンビニで買ってきたエナジードリンクを片手に、眉間に皺を寄せ、パソコンと睨みあっていた。

11時を回った頃、突然スマートフォンが鳴った。

「…拓哉さん?」

変だ。こんな夜に電話してくることなんて滅多にない。そもそも彼が電話をかけてくるのは、急用があるときだけなのに。

仮にも勤務中なので出ようかどうか悩んで____悩んだ挙句、スマートフォンの画面をタップした。

「拓哉さん、どうかしたんですか?」
『……A』
「はい」

通路に出てスマートフォンを耳に当てると、弱々しい声で彼が私の名前を呼んだ。切れかけた女郎花色の電球が、私の顔を照らす。

『きて、くれませんか』
「え、」

数瞬、息が止まった。どんなに体調が悪くても、辛くても、強がってしまう拓哉さんが、私に来てくれなんて言ってくれたのは初めてだった。

「今から、行きます」

仕事はまだ少し残っているけど、明日やれば間に合うはず。ちらりとデスクを一瞥して、私は頷いた。

ぷつり、と無言で電話が切れた。それはあまりにも急で、倒れた時の彼の縹色に青ざめた顔が頭をよぎる。

持ち帰れそうな資料だけを引っ掴んで、私はオフィスを飛び出した。

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作者名:エリッサ | 作成日時:2021年1月7日 19時

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