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割れない愛カップ/ko-chan ページ15

*

ガチャン!
不意に大きな音をたてて、マグカップが割れた。洗って置いておいたのを引っ掛けてしまったらしい。

「A!大丈夫?!」

スマートフォンを放り出し、慌てて航平が駆け寄る。焦って片付けようとすると指先にチクリと痛みが走った。

「いいよ俺がやるから」

はい、と絆創膏を手渡して、彼が私の頭を撫でた。こくりと小さく頷くと、意外にも彼はテキパキと割れたマグカップを片付けてくれて、びっくりする。普段ポンコツなのにこういうときはしっかりしているから侮れない。

「ごめん…お揃いだったのに」

付き合って何回目かのデートで買ったマグカップだった。ほしいと言い出した私に、二つ返事で航平が買ってくれたのだ。

初めてのお揃いのものだったのに、私が割ってしまったのが悲しかったし申し訳なかった。









「はぁ…」

昨日割ってしまったマグカップのことが頭から離れない。航平は大丈夫だと言ってくれたけど、きっと内心しょげているに違いない。だって割ったのは私のじゃなくて彼のなんだから。

お詫びも兼ねて、途中で2人分のケーキを買った。がっくりと肩を落として彼の家へと向かう。合鍵は貰っているけれど、一応連絡してからカチャリと鍵を開けた。

「新しいの、買おうかな」

初めてのお揃い、このままにはしておけない。もうすぐ帰ってくるであろう彼のために、紅茶でも淹れよう。自分の気持ちを入れ替えるためにも、ケトルに水を入れてスイッチをオンにした。

「さて、カップ」

代わりになるようなカップはあっただろうか。食器棚を開けて、カップを探して____ひとそろいの、どう見てもお揃いのマグカップを見つけた。

「えっ」

初めて見るカップだった。まるで新品のようなそれは、食器棚の隅にひっそりと仕舞われていた。ねえ、これってまさか…

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てんしゅ(プロフ) - 初めまして。いつもドキドキしながら読ませていただいております。「香りにキスして」の煙草はアークロイヤルのパラダイスティーかな?と想像しました。自分もアークを吸っているのでにやにやしてしまいました。これからも応援してます。 (2020年12月7日 20時) (レス) id: 02b4360ac3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:エリッサ | 作成日時:2020年9月26日 13時

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