フラップで覆う愛 (ページ5)

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40番単糸織りの気持ち/fkr ページ5

「あのね拳くん、私妊娠したの」

今日病院行って来たんだ、と恥ずかしそうに笑うA。仕事を終えて帰ってきた俺には、嬉しすぎるニュースだった。

結婚してもうすぐ半年。子供は2人くらいほしいよね、なんて話したのはいつのことだったっけ。

何ヶ月くらいなのとか、産休どうするのとか、聞きたいことも話したいこともたくさんあったけど、俺はいつも通りの笑顔で、「よかった」の一言に気持ちを詰め込んだ。

*

次の日が休みだったので、俺は1人でデパートに来た。Aも大変になるだろうし、何か買ってきてあげようと思ったのだ。

しかし来たはいいけど何を買えばいいのかが思いつかない。妊娠したら食べない方がいいものもある。好きだと言っていたハーブティーもしばらくお預けだから買っていってあげられない。

ぐるぐるとデパートを歩いていても埒が明かないので、フロアマップを眺めてみると、子ども服売り場があるのに気付いた。

たまにデパートに来ても、子ども服なんて見ることはない。あるとしたら横を通って、Aとの将来を想像するくらいだった。

子ども服売り場に来てみると、新生児用の商品が思っていたよりたくさんあった。

何がいいのだろう、と年配の店員に尋ねると、スタイはどうでしょうか、と提案された。

スタイ、いわゆるよだれかけは確かに生まれてくる子どもにちょうどよいかもしれない。

柄を決めかねていると、そういえばまだ性別も分からないんだっけ、とずいぶん急いで買い物に来てしまった自分に笑った。

*

「A、これ買ってきちゃった」

丁寧にラッピングされた袋を手渡す。中身を確認するなり、Aはくすくすと笑いだした。

「気がはやいなあ」
「子どもができたのが嬉しくて、何か買いたくなったんだ」

新生児用のさわり心地のよいガーゼのスタイ。男の子でも女の子でも似合うようにシンプルなものを選んだ。

パパからのプレゼントだよ、なんてお腹を撫でるAを後ろから抱きしめた。

パパと呼ばれるのはむずがゆいけれど、改めて家族になれたような気がして嬉しかった。

さて、今のうちから名前の候補を考えないとな。

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ふくらさんには親バカであってほしいという願望です。
ガーゼ生地は綿の30番～40番の糸で織ることから。