フラップで覆う愛 (ページ15)

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side izw

Aが俺のことを好きだということは、告白される前からわかっていた。鈍感な俺でも気づくほど、彼女は熱っぽい視線を送っていたし、ちょっと距離が近くなるだけで頬を赤らめていたから。

好きだと言われたとき、どう返していいか分からなかった。ごめんねとは言えなかった。ありがとうと言うのもなんだか違うような気がした。
それで咄嗟に

「返事は待ってもらえる？」

なんてあたかも気があるような返事をしてしまった。後でよく考えれば、俺はAをフって、彼女の愛情が俺に向かなくなるのが嫌だったんだ。

決して彼女の想いに応えてはやれないのに。それは単純にAの愛情が心地よかっただけかもしれない。でも、彼女の『好き』がほしかった。

それから1ヶ月、ずるずるとどうしようか悩んで時間を過ごしてしまった。こんなにも待たせて、彼女の想いが変わったりはしないだろうか。それだけが心配だった。

記事を書いているときにチラチラと俺の方を見るAが可愛くて、保留にしているのもいいな、とか思っちゃう俺はきっと碌でもないやつだ。

みんなが帰って俺と2人きりになったオフィスで、彼女はそわそわしている。

「こっちおいで」

俺は彼女を呼び寄せ、深い口付けを落とした。Aは突然のキスに驚いていたが、次第に身を委ねてきた。時折ぴくりと跳ねる体がいじらしい。口を離すと、ついと銀色の糸が唇を結んだ。

「いざわさ、んんっ」

彼女が何かを言おうとしたが、俺はまた自身の唇で彼女の口を塞いだ。何も言わせなかった。

無償の愛じゃなくてもいい。君の愛がもらえるなら、出来ることはするよ。

こんな動機で君の返事を保留にして、君を狩り止めておく俺を、どうか愛していて。

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仮縫い→告白保留はちょっと安直すぎたかも。
碌でもない人にこそ惹かれますね。