サボテンを咲かせて

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そういえば、どうしてからかわれるようになったんだっけ。初めて会ったのはQuizKnockに入ったときで、知らない人ばかりで緊張していた私になんて興味なさそうだったのに。

オフィスではどちらかと言うと歳の近いこうちゃんや山本さんと話すことが多くて、河村さんとちゃんと話したのはライターになってしばらくしてからだった。

*

「Aって僕のこと苦手？」

それはたぶん、偶然にもオフィスに私と河村さんしかいないときで。慣れない作業をしていたところに河村さんが急に話しかけてきた。

「そんなことはない、ですよ」

苦手と言ってしまえばそうなのだけれど、話しかけづらい雰囲気があって事務連絡以外ほとんど話さなかっただけだった。

動画の中や、ふくらさんに見せるあの笑顔を見たことがなかったから、てっきり河村さんの方が私のことが苦手なのだと思っていた。

「そもそもそんなに話さないのが原因かな」
「近寄りがたい雰囲気しません？河村さんって」
「そう見えんの？」

思っていたより無邪気な感じで話してくれて、少し緊張がとけたのを覚えている。

「面白い子だなあ」

面白くなんかないです、と言い返したものの、あまり話したことのない河村さんが話してくれたのが嬉しかった。



「まぁ、好きな子はからかいたくなるよね」



「何言ってるんですか…」

あのときは冗談だと思って気にも止めていなかったけど…まさかね。まさかまさか、河村さんが私のこと好きだなんてことはないはずだ。

もし、万が一、河村さんが私のこと好きなんだとしたら？わざわざ私に構うのも、少女趣味をバラさない代わりにデートしろと言うのも、あれもこれも説明がつく…？

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