初対面 ページ4
A「…っはぁ、はぁ…」
どれくらい走っただろうか。
最初は小走りのつもりだったのに、いつの間にかダッシュになっていた。久々に身体を動かしたせいか、息がなかなか整わない。
勿論僕の背中を撫でてくれる優しい人など居ないわけで(そもそも人影すらない)、手で胸元を掴み呼吸を落ち着かせる。
A(…ここ、何処だろう…迷っちゃったかな)
とりあえず、来た道を引き返せば校門に出られると考え立ち上がると、何処からか聞き覚えのある音が聞こえた。
タンタンとボールが体育館の床を打つ音と、楽しそうな声。……あぁ、懐かしい。
誘われるように、背中を押されるように…僕の足は自然と音のする方――――――体育館へと歩いていった。
都合よく扉が少し開いていたので、隙間からそっと覗き込む。
A(やっぱり、バレー部…)
なんて楽しそうなんだろう。皆笑顔で幸せそうだ。
ほら、あのオレンジ髪の子なんか、飼い主に会えた子犬みたいにはしゃいでる。ふふ、可愛いなぁ。
A「……………♪」
見惚れるように、その場に居続けたのがいけなかったんだろう。集団の中にいた、深緑色の髪の子と目がばっちり合ってしまった。
A「っ!?」
慌てて隠れる。
急いでその場から立ち去ろうとしたけど、もう遅かった。カラカラと扉を開ける音がして、さっきの子が出てきてしまったのだ。
A「……っ」
身体が動かなかった。覗き見をしていた罪悪感からではない。…彼の、エメラルドのように澄んだ瞳に見詰められて緊張してしまったのだ。
彼は…きっと僕の父の事を知っているのだろう。話しかるか迷うように三白眼の瞳を泳がせている。頭が傾く度に揺れるアホ毛が、兎の耳のように愛らしい。
そして意を決したように口を開いた。
山口「あの、さ」
A「…な、何…?」
初対面の人と話すのはやっぱり苦手だ。…前髪が長くて良かったと思う。
山口「もしかして、バレー部に入りたいの?」
A「…そ、それ…は…」
違うと、一言いえば帰れたのに。僕は迷ってしまった。
だって、僕は犯罪者の子供なんだよ?犯罪者の家族も犯罪者なんて言われてる奴が、おめおめと光の中に入っていくなんて、なんて無神経な!
Special Thanks(読み飛ばし可)→←編入初日の放課後
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しろうさ(プロフ) - 夏斐さん» 了解です!(誤タップでリクエストコメ消してしまったので送り直してます) (2019年11月9日 0時) (レス) id: cf1188e096 (このIDを非表示/違反報告)
夏斐(プロフ) - あ、すみませんマイボード行けました!あんまり操作になれてないもんで…すみません。マイボードにURLのせますね! (2019年11月8日 23時) (レス) id: 0603515f71 (このIDを非表示/違反報告)
しろうさ(プロフ) - 夏斐さん» 了解しました!わざわざありがとうございます。 (2019年11月8日 21時) (レス) id: cf1188e096 (このIDを非表示/違反報告)
夏斐(プロフ) - すいません、マイボード無かったのでここに書かしていただきます。貴方から夢主リクもらった暇な犬なんですが訳あって別アカでやってます。この小説の夢主君完成したらURLここにのせますね! (2019年11月8日 20時) (レス) id: 0603515f71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろうさ | 作成日時:2019年9月28日 12時