マニキュア【七海建人】 ページ18
高専七海×同級生A
*
『ねぇ、コレ塗って』
パッと本を取り上げられて差し出された小さな物。
「…マニキュア、ですか?」
『そう。硝子さんが私に似合うと思うってくれたんだけどね…なんせ不器用で……』
「こういうのは灰原に任せた方がいいでしょう。妹もいるみたいですし、慣れてると思いますよ」
『今日帰って来ないじゃん。今塗って欲しいの。七海も器用でしょ?』
そう言って机の上に手を広げた。
蓋を開けるとツンとした独特の匂い。
彼女の指を持ってはみ出さないように塗っていく。
『プロみたい…!』
「動かさないでください」
『アッ、ハイ』
3人しかいないクラス。Aともよく話すから今更緊張する事もない。
ただこうして触れるのは初めてだった。
思ったより小さくて柔らかい手、こんな手で術式を使っているのかと思うと不安になる。
『これさ、塗ってるのバレたら怒られるかな?』
「…普通の学校と違ってその辺は緩いので怒られないと思います」
『もし言われたら七海にしてもらったって言おうかな』
「そう言ったところで怒られる時は怒られます」
クスクス笑う彼女は美しい。
全部塗り終えてマニキュアの蓋を閉めた。
貰ったと言っていたそれは、Aによく似合っていた。
『ねぇ、可愛いかな?』
「…似合ってますよ」
『七海が綺麗に塗ってくれたおかげだね!』
「可愛い」たった一言が喉に詰まって出ない。
灰原や夏油さんなら、息を吐くように一番に可愛いと言うのだろう。
「A、」
『ん?』
「いや、その……か……」
「どうしたの?」と首をかしげるAもまた可愛くて。
「乾くまで動かさない方がいい、ですよ……」
『確かに。早く乾かないかな〜』
……言えない。
言えたとして、その先は?
なんて返って来て、なんて言う?
『七海ありがとうね!硝子さんに見せてくる!』
「いってらっしゃい。」
わからない言葉の先を伝える勇気はない。
……伝えられる日がくるのだろうか。
・
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あずき - ドキドキの展開と読みやすさで、こちらを見つけてから一気に読んでしまいました!くまこさんの他の小説も読みに行きます!!これからも応援しています(*^^*)寒いので体調お気を付けください✴︎ (2023年1月5日 10時) (レス) @page28 id: 106ac23ac3 (このIDを非表示/違反報告)
くまこ(プロフ) - 女将さん» ありがとうございます✨パンダ先輩のキャラがイマイチ掴みにくく希望に沿えない場合があると思います。それでもよければ書きますので、またお返事お待ちしています! (2022年1月13日 18時) (レス) id: 4d461ca81c (このIDを非表示/違反報告)
女将 - 真希ちゃん、カッコいい!!( ^ω^ )パンダ先輩の話って、作れます?、 (2022年1月12日 22時) (レス) id: 701342fb46 (このIDを非表示/違反報告)
くまこ(プロフ) - 来栖さん» かっこいいと言ってもらえて嬉しいです!応援ありがとうございます🙏✨頑張っていきます!! (2022年1月3日 21時) (レス) id: 2f9771eb13 (このIDを非表示/違反報告)
来栖 - 真希先輩.......カッコいいですね!!キュンとしました!!大好きです!応援してます! (2022年1月3日 21時) (レス) @page29 id: fe1b1449e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くまこ | 作成日時:2021年9月30日 13時