思春期の短編集【呪術廻戦】

泥酔女【伏黒恵】 ページ11

生徒伏黒×高専所属呪術師A(21歳)




*




生ぬるい暑さに寝付けず、少し遠いがコンビニまで行こうと思って高専を出た。




「…は？」




出たところでタクシーの運転手が後部座席のドアを開けて、乗客に降りるように言っていた。

その乗客は毎日のように顔を合わせているから見間違えるはずもない。




「……なにしてんすか、Aさん」

「君この子の知り合い？ちょっとどうにかしてよ、酔い潰れて最悪だよ」

「…すみません、お金いくらでしたか？」




なんで俺が……とは思ったがタクシーの運転手に迷惑かけるわけにはいかない。

お金を払ってAさんをタクシーから引きずり下ろした。




「お兄ちゃん悪いね、助かったよ。これ夕方買ったんだけどコーヒーとお菓子よかったら貰って」




それだけ言って去って行った。


酒臭いAさん。呂律や足取りから通常の酔い方では無いことがわかる。




「ほら帰りますよ」

『…やり捨てられた』

「だからあの補助監督は辞めとけって言ったじゃ無いですか」




トロトロ歩いてたと思えば今度は座り込んで泣き出した。最近入ってきたクソみたいな補助監督が好きだと話していたのは知っている。

はぁ……面倒臭いのに放って置けない。




「もっといい人いますよ」

『どこにいるのよ、そんな人血眼になって探しても見つかんないし』

「…ここにいますよ、アンタの目の前に」

『今すぐ結婚しよ、』

「じゃあ俺の部屋行きましょう。今日虎杖もいないし」




酔って覚えてなくてもいい。
また酔いから覚めて伝えればいい。





*





『あー……』

「おはようございますAさん」

『な、んで恵…？』

「思い出さなくてもいいですよ。思い出させてあげるんで」




起き上がるAさんを再びベッドに倒して覆い被さる。
それだけで真っ赤になるAさん。



…まあ昨日は部屋についてすぐゲロ吐かれて片付けてる間に寝られたから何もしてないんだが。




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