思春期の短編集【呪術廻戦】

勝ったら【虎杖悠仁】 ページ22

バスケ部3年虎杖×マネージャーA



*



インターハイ決勝。
勝っても負けても、これが済めば部活は引退する。

3年間の集大成、最後の試合。




「気張っていこうぜ！」

「「オー！」」




笛の合図で始まる試合。
相手は去年インターハイで優勝した強豪校。

前半終了時点で30点差。


……まだ巻き返せる。




『みんなお疲れ様！』

「Aも応援サンキュー。すっげぇ力になる！」

『それは良かった！』




休憩と作戦会議を終えて再びコートへ立つ。
正直なところ、俺ひとりでボール持って走ればなんとでもなりそうだけど、それじゃあ意味がない。

チームみんなで勝つんだ、そして……




「A！！」




静寂の中、自分の声が響く。




「この試合さ、勝ったら俺とデートしてよ！」




さっきとは違って騒めく体育館で、顔を赤くして首を縦に振るA。

それにピースサインで返事をすれば笛の音。
後半戦、絶対に負けられない。


チームの為、自分の為、デートの為にも。


ボールに思いを込めて放つ。




「入れっ！！」




ﾋﾟﾋﾟｰｯ!!!




終わりの合図と共に、ゴールに吸い込まれるボール。




「……入った、か？」

「うおおおお！やったな虎杖！」

「3ポイント……逆転勝ちだぜ！！」

「マジか………やった、やったぞー！！」




時が止まって見えたけど、無事に逆転優勝を果たした。
チームメイトにバシバシを肩を叩かれて、夢じゃないことがわかる。




『悠仁っ！おめでとう！』

「A！最後の見た？」

『見たよ……頑張ったね、』

「え、ちょっ……泣くなよ！」




変わらずコートのど真ん中で、誰かに背中を押されてAとの距離を詰めた。

慌てて振り返るとしれっと視線を逸らす伏黒がいる。
いつの間にかみんなに囲まれて、今しかチャンスはない。




「A……インハイ終わったら言おうと思ってたことがあるんだけど……今言うわ」




ガラにも無く心臓が張り裂けそうになるぐらい痛い。
ドクドク速すぎて痛い。決勝より何倍も緊張する。




「Aの事がずっと好きなんだ、俺と付き合ってほしい……」

『……私も、ずっと悠仁が好きだったよ』

「……マジで？やば、超嬉しい！」




インターハイ優勝とは違う拍手に歓迎されて、俺はAを思いっきり抱きしめた。



今日に向けてバスケに集中する日々も良かったけど、これからはゆっくりAとの時間を過ごしていきたい。





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ホンモノの彼氏【伏黒恵】→←補助監督として【伊地知潔高】

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