ウサギとカメ、と (ページ9)

今日:13 hit、昨日:3 hit、合計:103,619 hit

8 ページ9

.

どう、と聞かれると難しい。

「面白い考え方をする人だな、とは思った。似てるって言うには烏滸がましいよ」

その言葉にたろちゃんは、あはは！と声をあげて笑った。

「そーゆーとこ！そっか北斗だ、なるほどな」

1人で何かに納得しながら３個目のおにぎりを取り出す。

「俺さ、入学式ん時にAに声かけたじゃん？俺この子と仲良くなれそー！って思ったからなんだけど、北斗っぽいからだ」

「大人しそうで近寄れない雰囲気あるけど、話すとやらかくて面白えんだよ」

いつものキラキラの笑顔で、恥ずかしげもなく言ってのけた。

「…私たろちゃんのそういうとこ好きだなぁ」
「なに！？告白！？一応彼女いるから…」
「やめて勝手に振られたくない」
「あ、彼女で思い出した。ちょっと相談あんだけどさ…」
「ちょっとは振られた側の気持ちにもなりなよ。で？どうしたの？」

気付けば３個目のおにぎりの影はどこにも無かった。

.