ウサギとカメ、と (ページ43)

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〈慎太郎〉

がちゃん、とドアが閉まった途端、

「北斗に…彼女！？」

今日初めてAに会ったメンバーは動揺しまくり。
俺は北斗とAが一緒にいるのを見慣れてるけど、普通はあの北斗が女の子と2人なんて考えらんないよね。

でも1人だけ、きょもはやけに真剣な顔をしてドアを見つめる。

「慎太郎」
「んー？」
「Aって北斗とか慎太郎の前だとあんななの？」

「俺と北斗でも微妙に違うよ？Aは相手に合わせるから」
「ふーん」

俺だってびっくりした。
きょもと話すAは俺が知ってるよりも明るくて、ころころと表情の変わる子だったから。

淡々と話してくすくすと静かに笑うAは居なかった。
Aにとって、少なくとも俺ときょもの役割が違うことを感じる。

あんまり表情の明るくない俺らの方へ、ジェシーが缶ビール片手にやって来た。

「大我はAちゃんが好きなの？」
「うん」
「EHE！そうなんだ！」

そっか。
きょもはAの事が…

「うん！？」
「え？うん」
「え、マジ？マジのやつ？ちょっと待って整理できない、予想外も外よ？」
「俺からしたらお前らと仲良い事が予想外なんだけど」
「それは、そう…」

的確すぎて尻すぼみになった。

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