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「ごめん、そんな見られると困る」
「あっごめんなさい」
「Aは人間観察しすぎ、思ったこと話せばいいのに」
「だったらここまでの経緯をもうちょい詳しく聞かせてもらってもいい？」
怒んないでよーとなかなかの力で私の肩を叩かれる。
馬鹿力め。
「さっきも言ったけど、Aは高校の時から仲良くて同じ大学に進学しちゃうくらいには仲良し。でも人見知りなので友達が少ないです」
不服ではあるけどその通りなので黙って頷く。
「北斗とは同じ文学科で、私以外の友達が1人もいません！」
「「流石にいるから」でしょ」
ハモってしまった驚きで反射的に彼を見れば、前髪の隙間から犬のようなまん丸の瞳が見えた。
「ほら！2人ともなんか似てるから絶対仲良くなれると思ったんだって！」
テンションの高い彼女を制止するように、彼は咳払いをひとつ落とす。
「Aさん、教育の人でしょ？森本っていうデカくてうるさい奴知らない？」
頭の中で検索をかけるまでも無く、デカくてうるさい森本には心当たりがある。
「たろちゃん？」
森本慎太郎。通称たろちゃん。
身長も体つきも声も大きめで、松村君を男性と表現するならたろちゃんは漢って感じ。
でも心優しいし気遣いの人だから、それこそ森のくまさんみたいな人。
「それそれ。高校の時からの付き合い。あいつと話すんだ？」
「、まあ」
入学式の時になんとなく座ったその隣がたろちゃんで、学部一緒だね、なんて話しかけられたところから話すようになった。
それにしても、私の知るたろちゃんと目の前の松村君を結びつけられない。
でも向こうからしても私とたろちゃんは結び付かないだろうから同じか。
「なに！？北斗に高校の友達がいるの！？Aに学部の友達がいるの！？」
「「失礼」」
またしても目を合わせることになった。
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作者名：この葉 | 作成日時：2022年11月22日 23時
