ウサギとカメ、と (ページ16)

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「Aってネコっぽく見えるけどイヌだよね」
「どういうことですか？」

「ツンケンしてて誰にでも尻尾振らなさそうに見えるけど、実際は優しくされたら誰にでも懐くし可愛がられてたいタイプ」

…間違ってはいない。
が、認めたくもない。

「今だってそうでしょ？ネコが振り向くのを健気に待ってるわんこじゃん。可愛いねぇ」

今度は私に対して人差し指をぴこぴこと動かした。
違うのは、にこにこじゃなくてにやにやしてること。
目の前の指を手の甲で払う。

「あ、じゃれた」
「この話題で3限サボろうとしてます？」

大きな溜め息を吐かれた。

「大学って5回休めるんだよ？」
「大我さんが既に2回サボってるのは知ってます」
「てことはまだ休めるから今日はこいつと遊ぶ」

再び私の隣に並んで、真剣に窓の外を見つめる。
本当に気まぐれな人。

「大我さんはネコですね」
「ううん。俺はタイガー」

前言撤回。タイガーだそうです。
トラならネコ科だし、視線の先にいるネコとサイズ感的には合っているのでそのままにしておこう。

「遊んであげようか？」
「大丈夫でーす」

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