ウサギとカメ、と (ページ15)

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「お疲れ様です」

今日も今日とて陽の当たるソファに転がる金髪。
ただいつもとは違ってお客様がいらっしゃった。
窓の外側、ちょっとした鉢植えを置けるスペースに香箱座りで日向ぼっこ。

「ネコ…！」

ソファに膝立ちして窓辺に近寄る。
そのネコは気持ち良さそうに目を閉じて、たまにぴくりとひげを動かした。

「かわいい…」
「近い」
「びっ、くりした」

ちょうど膝立ちしている辺りから聞こえた声に視線を向ければ、不機嫌そうな顔が私を見上げていた。

「起きてたんですか？」
「人来たなって思ったくらい」

大我さんが体を起こしてぐっと伸びをすると、外のネコも一緒にくわ、と欠伸をした。

「おっ？」

そんな様子がお気に召したのか、くるんと身を翻し私の隣に並ぶ。

「こいつ可愛い」

さっきまでの不機嫌とは打って変わって、ぎりぎりまで窓に顔を寄せ楽しそうに人差し指をぴこぴこと動かす。

「俺ね、ネコアレルギーなの。でも可愛いもんは可愛い」

大きな目をきらきらと輝かせる姿はとても無邪気で少年のよう。
一方、外の子は動く指に少しも興味を示すことなく、ゆったりとお昼寝を再開した。

遊んでくれないと分かると、むっとしてまたソファに沈む。
ネコはそんなところが可愛いのに。まだまだだな。
飽きてしまった大我さんを横目に、私はめげずにネコを見つめ続けた。

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