JUMPの10人目は脱力系。

32：大嫌いなはずなのに。 ページ38

途方に暮れて歩き出す。


そして、辿り着いたのは衣装室。


恐らく誰も使わないから


ここに、こもっていよう。




あんな奴らの顔なんか見たくもない。


勝手にすれば良い。


もう、



どうでもいい。



静かな部屋で寝転び、



今までのことを思い出す。





ああ、前のコンサートの時


緊張して歌詞すっとばしちゃって


皆が代わりに歌ってくれたっけ。



それとか、


私が悩んでた時、いち早く気付いて


「俺は、こう思う！」とか言って


不器用に、けれど一生懸命に


考えてくれたな。





ああ！あと、この前


ストーカーも退治してくれたんだよね。


頑丈なドア蹴っ飛ばして。



…あとは……




貴「……」



思い出しても、思い出しても、



嫌な思い出なんて一つも無かった。





いつも、私の前で笑ってくれて



助けてくれて。



たまに、毒舌が飛んでくるけど



それはいつも、暖かみがあって。




あんなに言われても、


『大好き』という気持ちが増してゆく。




もう、



貴「なんなんだよ…。」








嫌いなら無理して話しかけなくて良いから。



嫌いなら無理して笑いかけなくて良いから。






『顔も見たくない』という気持ちと、




『まだ、皆と離れたくない』という気持ちが





私の前で揺れていた。

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