膝まくら 2 (ページ19)

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第６３話ページ19

『ーーーーーー』
『ーーー！ーーー…』

｢もう少しでラストだ…｣

すごく緊張する

ラストは私の一言で締めくくることになっている

練習はばっちりしてきた

今だって口パクで何回も繰り返し練習してる

｢鈴木、肩の力を抜いていけよ？変に畏まることないからな！｣
｢はい、頑張ります｣
｢Aちゃん、がんばれ！｣

いま声かけられると気が散るけど私を思ってくれてるんだよね…

『ーーー。ーーーーーー』
(次だ…)
『ーーーーーー…？』
｢(今！)！？危ない！｣

主役の紫紅さんが舞台の真ん中に来た時に私の出番で、舞台に出ると一つの照明が紫紅さんの上に落ちてくるのが見えた

咄嗟に紫紅さんを押す

｢あ、危なかった…｣
｢大丈夫？｣
｢うん、だい｢鈴木さん！背中！！｣
｢え？｣

直撃はなんとか免れた

まさか、照明が落ちてくるなんて普通なら有り得ない。可能性としてはとても低いはずなのに…

床に座っている紫紅さんを立たせようと手を伸ばすと誰かが焦ったように叫んだのが聞こえた

何だか他のクラスの人もザワザワしてる

｢鈴木！！いま、救急車を呼ぶからな！？辛かったら座ってろ！｣
｢なんで救急車なんて呼ぶんですか？｣

舞台袖で見ていた担任の先生が物凄く慌てたように出てきたから不思議で聞くと辺りが一瞬で静かになった

｢なにってお前…｣
｢怪我とか誰もしてな｢アンタその背中のなによ！？｣背中？｣

先生が呆然と立ち尽くす中、どうしたものかと体ごと先生の方に向けると紫紅さんの驚きの声があがった

恐る恐る背中に手を回すとガラスの様なものに当たり、気付いた

(背中にガラスが刺さってる！！)

照明が落ちた時にガラスの割れる音は聞こえていたけどまさか刺さっているなんて…

いら、それ以前にバレた。これだけ深々の刺さっていて、痛くないなんておどけられない

｢アンタ、人じゃないわ…｣
｢違っ…。私はただ病気で……。それで……。！｣
｢近寄んないでよ！！化け物！！｣

誤解を解きたくて近寄ったら化け物と言われた

小学校で1度も言われたことのない言葉にどう返せばいいのか分からない

でも、化け物がいい言葉じゃないことぐらい分かる

怖い。すごく怖い

怖い、怖い。離れないで

離れて行かないで…

｢紫紅！！言っていいことと悪いことくらい考えろ！！鈴木、まずは病院に行くぞ！｣
｢はい…｣

先生に手を引っ張られてその場を後にした

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