きつねのよめいり！ (ページ6)

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きつねの温泉合宿！3 ページ6

角名side

治にあの子を紹介されたあの日、俺は人生ではじめて一目惚れをした。

まだ汚れを知らない瞳も、

笑う時に少し下を向く癖も、

ぱっつんに切りそろえられた前髪も、

"年上のセクシーなお姉さん"にしか興味のなかったはずの俺が、

恋に堕ちてしまうためには、あまりにも充分だった。

治にはもう気づかれているかもしれない。

たった1週間同じ教室にいただけなのに、不自然なほどにAを目で追い、

Aの声に耳が反応し、

Aを前にすると自然と口元が緩んだ。

バレーのために実家から遠い稲荷崎高校まで来た。

それなのに、ここに来たのはAと出会うためだったんじゃないかって…。

でも、同じ班に誘ったり、隣の席に無理矢理座ることにさせたりしてみたけど

Aは気づいているんだろうか。

………っていうか、俺、バスの中ではAと喋って意識してもらおうと思ってたのに

なんでこの子は今俺の肩に頭を乗せてぐっすり寝てるんだ…！？

俺の話して墜とそう大作戦、台無しじゃん。

ま、でも肩借りるってことは俺のこと信頼してくれてるってことだよね。

めっちゃいい匂いするし。

ん、いや、待てよ、出会って1週間かそこらの男に簡単に頭預けちゃだめでしょ！

俺以外の男にもこんなことしてるの…？

はあ、まじで心配…。

結局俺がAのこと好きになるばっかりで、

Aは寝てるって…。

俺こんな不器用だったかな。

Aside

いい匂いがする。

あったかくて、懐かしくて…………

田中先生「もうそろそろ到着やから寝てるやつは起きろよ〜〜、隣の人寝てたら起こしたってやあ」

……ん？？

はっ！！！まって、どうしよう、え、私角名くんの肩にもたれかかってるくない！？

え、とりあえず一旦まだ寝てるふりしよう。

…どうしよ、これ普通に起きるべき？

めっちゃ恥ずかしいんやけど！！

角「A、起きてるんでしょ。」

A「えっ！待ってなんでばれたん…？チベスナの能力…？」

角「だってすっごい急に顔赤くなってたから。あとチベスナじゃない。」

A「はずかしい…。

あっ、っていうか、か、肩、ごめんね。

重たかったやろ。」

角「ううん、ぜんぜん。

俺的にはラッキーだったよ。」

え！？ラッキー！？どういう意味…！？

重たくてラッキーとか変わってる人やなあ。

あ、バレー部やから筋トレになったってことかな。

うん、きっとそういうことやんな。