後付け不可 ページ32
……年前
ー君は……軍の募集要項を読まなかったのかね？
君では入隊試験を受ける規定すら満たしていないのだよ
それが勉強とか、運動とか……
後付けでどうにかできるものならもう少し頑張るか、とでも思ったかもしれん。
せやけど、
「身長てなんや身長て！！」
回りからの痛い視線もお構い無し、
城下町の比較的大きな通りで堪えることも忘れて自慢の大声を張り上げる。
あの軍隊長の台詞を思い出す度に腹が立つ。
そんな身長なんて、こっちがどうこうできる訳ないやろうが。
できるならとっくに何とかしとるわ。
突き返された履歴書と、ずっと持っていた募集要項の紙を纏めてぐしゃりと握り締める。
それだけでは満足できず、両手で握り潰して小さな紙の塊と化したそれを視界に入ったゴミ箱に力の限り放り投げた。
しかし腹が立ったときほど物事は上手くいかないもので、
ゴミ箱の横に並んだベンチに腰を下ろしていた男の頭へと命中した。
つくづく運がない。
男は少し驚いたように辺りを見渡して、地面に落ちた紙の塊を拾い上げる。
やばい、ぶち切れられたらどないしよ。
近付こうか近付くまいか悩んでいる俺に気が付いた男は、ひらひらとやる気なさげな手招きをする。
とりあえず謝罪の意を示そうと頭を下げれば、男は「大丈夫」と言いたげに笑い声を漏らした。
「すごいデカい声で叫んでたな。身長て何や！て」
改めて言われると恥ずかしくなり、男の手から紙の塊を引ったくるようにして今度こそ勢いよくゴミ箱へと叩き込む。
「あんま自分の国やから言いたくないけど……この国の軍、気に入らんわ」
真顔で言い切った俺がそんなに面白かったのか、雑面の下から覗く口元を緩めて男は笑って見せた。
「俺でよかったら愚痴、聞くよ？」
そう言うと小さく捲った雑面の下から澄んだ青色の瞳がこちらを見つめていた。
まるでナンパのような、
それが俺とぺ神との出会いだった。
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CrazyBook(プロフ) - 鳥類志望さん» コメントありがとうございます。本当に不定期で遅い更新ですが、気長にお付き合いくださいね！ (2020年7月27日 6時) (
レス) id: 89127ffd6d (このIDを非表示/違反報告)
鳥類志望(プロフ) - コメント失礼いたします。以前コメントさせていただいたキツネというものです。また更新再開していただいてとても嬉しいです。また更新頑張ってください、応援しております。 (2020年5月9日 6時) (レス) id: 5b352d10cf (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook(プロフ) - コメント、ありがとうございます！更新が滞っていて申し訳ありません。時間はかかりますが、必ず完結には持っていきますので気長にお付き合いください。 (2019年8月12日 8時) (レス) id: 89127ffd6d (このIDを非表示/違反報告)
キツネ(プロフ) - はじめまして、コメント失礼致します。当方、こちらの作品が作成された当初から閲覧させていただいておりますがとても面白く、文章も綺麗で大好きな作品です。お忙しい中更新大変かと思われますが応援しておりますね。 (2019年7月25日 10時) (レス) id: 5b352d10cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：CrazyBook | 作成日時：2019年1月8日 23時
