存在意義 3 ページ15
「ぺ神様、私に存在意義はあると思われますか」
「急にどしたの、人生相談？」
質問に質問で返され、軽く面食らったようにクラサは首を縦に振る。
彼女の調合した薬を小瓶へと入れていく最中、小さく唸り続けていたしんぺい神は椅子を引っ張ってくるとクラサの隣で腰を降ろした。
「存在意義、か……ちなみにクラサが思う自分の存在意義って何なの？」
今までに無い問い掛けに、はたまた面食らったクラサは思案するように視線を上へ向けると再びしんぺい神へ向き直った。
「私は戦争用の軍事兵器です。我々国の敵となる存在を排除する為の……命を奪う事だけが私の存在意義かと」
彼女なりの回答へ相槌を打つしんぺい神は、机へ頬杖をつくと「ならさ……」と口を開く。
「何でここで医療知識の勉強してたの？」
「それはしんぺい神様がお誘いくださったからで……」
「じゃ、何でひとらんと野菜作ってるの？」
「それは……ひとらん様にお世話になっているお礼にと」
「なら何で、幹部の皆の仕事をいっつも手伝ってるの？」
「それは皆様の負担が少しでも軽くなるようにと……」
「嫌いな仕事ってある？」
「いえ、特にございません。どの仕事も行っていていつも新しい発見がありますから」
時折詰まりそうになりながらも答えを導いていくクラサへしんぺい神は「思惑通り」とでも言いたげに雑面の下で頬を緩めていた。
「クラサちゃん、敵兵を殺す為だけやないやん。
幹部の皆と一緒に暮らして協調性を学んで、
動植物なんかを育てて自然にも関わって、
医療知識を覚えて万が一には使えるようにまでしてるんだよ？
「何が出来るか」じゃ無くて「何がしたいか」で生きてるんだからさ、存在意義としてはもう十分でしょ。
毎日を楽しむ為に生きる、
生きる者の存在意義はみんなこれで良いんじゃないの？って俺は思ってるんだけどな」
ざっくりすぎるかな、と困ったように頬をかいたしんぺい神は何を思ったか調合机の引き出しを開いて何かを探し始めた。
お世辞にも綺麗とは言えないそこには日常的な雑貨から、枯れた薬草、更にはミイラと化した昆虫の残骸等が乱雑に共存している。
クラサが見守る中、彼は奥から見つけた一通の手紙を机上へと救出した。
「これはどのようなお手紙なのですか」
「俺がグルッペンに軍医として誘われた時のもの。読んでみる？」
それなりに色褪せた封筒から取り出された便箋にはズラリと並ぶ万年筆の文字。
舐めるようにして文を読んでいく彼女へしんぺい神は、オマケの様な軽いノリで当時の話を始めるのだった。
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CrazyBook(プロフ) - 鳥類志望さん» コメントありがとうございます。本当に不定期で遅い更新ですが、気長にお付き合いくださいね！ (2020年7月27日 6時) (
レス) id: 89127ffd6d (このIDを非表示/違反報告)
鳥類志望(プロフ) - コメント失礼いたします。以前コメントさせていただいたキツネというものです。また更新再開していただいてとても嬉しいです。また更新頑張ってください、応援しております。 (2020年5月9日 6時) (レス) id: 5b352d10cf (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook(プロフ) - コメント、ありがとうございます！更新が滞っていて申し訳ありません。時間はかかりますが、必ず完結には持っていきますので気長にお付き合いください。 (2019年8月12日 8時) (レス) id: 89127ffd6d (このIDを非表示/違反報告)
キツネ(プロフ) - はじめまして、コメント失礼致します。当方、こちらの作品が作成された当初から閲覧させていただいておりますがとても面白く、文章も綺麗で大好きな作品です。お忙しい中更新大変かと思われますが応援しておりますね。 (2019年7月25日 10時) (レス) id: 5b352d10cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：CrazyBook | 作成日時：2019年1月8日 23時
