魔王 ページ11
そこには天井裏を通って現れたのであろう緑パーカーの人物の姿が。
その証拠に天井の一部は人一人通れる程に外されていた。
「ひひっ、気付かれたか。音でも聞こえたん？」
「いや……急に人の気配がしただけ」
警戒心剥き出しのひとらんらんとは対照的に「俺もまだまだやなー」と楽観的に笑うゾムは、彼へ１つのインカムを手渡した。
「話は聞かせてもらった」
促されるままに耳につけたインカムから聞こえてきたのは心地のよいバリトンボイス。
どうやら声の主は会わせられないとまで言われた我々国の総統、グルッペン・フューラーのようだ。
思わず体を強ばらせたひとらんらんを置いてインカムは喋り続ける。
「確かにお前の意見にも一理ある。まさかトン氏と同じ事を他国の人間に言われるとは思っていなかったがな。
が、
何故他国の人間であるお前がこの国をそこまで気に掛ける？」
何かを試すような挑戦的な口調に臆することも無く、背筋を伸ばして目の前に相手がいるように空間を見つめたひとらんらんは至って単純な答えを導いた。
「一通り城下町を見て、この国がいい国だと思ったから。無くなるのが勿体ない気がするってだけ」
彼自身が敬語を外して口を開いたのを気が付いた頃には、インカム越しにグルッペンの満足げな笑い声が聞こえてきた。
ふはははは！という笑いはもはや総統などではなく魔王という表現の方が正しい気さえしてくるのだが。
「ひとらんらん、と言ったか」
ようやく笑いのおさまった彼に、ひとらんらんは「はい」と頷く。
何を言われるか、と身構える彼の耳に飛び込んできたのは思いもよらないものだった。
「お前もこの国の幹部になれ。
お前にならこの国の農業を託しても良いゾ」
その言葉の意味をきちんと理解し、柄にもなく本能の赴くままに戸惑いの絶叫をするひとらんらんが辺りを見渡すも、3人の幹部に異論は無いようで。
なんやかんやありながらも彼は無事に我々国の幹部兼、農業大臣の席に落ち着くのだ。
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CrazyBook(プロフ) - 鳥類志望さん» コメントありがとうございます。本当に不定期で遅い更新ですが、気長にお付き合いくださいね！ (2020年7月27日 6時) (
レス) id: 89127ffd6d (このIDを非表示/違反報告)
鳥類志望(プロフ) - コメント失礼いたします。以前コメントさせていただいたキツネというものです。また更新再開していただいてとても嬉しいです。また更新頑張ってください、応援しております。 (2020年5月9日 6時) (レス) id: 5b352d10cf (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook(プロフ) - コメント、ありがとうございます！更新が滞っていて申し訳ありません。時間はかかりますが、必ず完結には持っていきますので気長にお付き合いください。 (2019年8月12日 8時) (レス) id: 89127ffd6d (このIDを非表示/違反報告)
キツネ(プロフ) - はじめまして、コメント失礼致します。当方、こちらの作品が作成された当初から閲覧させていただいておりますがとても面白く、文章も綺麗で大好きな作品です。お忙しい中更新大変かと思われますが応援しておりますね。 (2019年7月25日 10時) (レス) id: 5b352d10cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：CrazyBook | 作成日時：2019年1月8日 23時
