＊58＊ ページ18
＊
あ「……え？あ、」
伸ばした手の指先が絡み取られて、そのまま抱きすくめられてしまった。
他でもない、この男に。
あ「………今度は何？」
健「……ほんと、(人1)さんには困るよ」
どうにかして奴の腕の中から逃れようともがくけど、強い力で抱き締められているせいで、どうすることも出来なかった。
仕方なく、そのままの状態で健人の言葉に耳を傾けてあげることにする。
健「あー。何か変だ。今の俺、おかしい」
あ「何を今さら。アンタはいつだって変人でしょ」
健「いや、そういう意味じゃなくて。身体が…ていうか頭が、変？」
逆に質問し返されてしまって、どうにもならない。
私だって、この男の言うことがよく分からないんだもの。
あ「言ってること滅茶苦茶じゃんか」
健「うん、……だから要するに」
健人は、自分の中に溢れたものをゆっくり整理するように話し始めた。
健「ほら、(人1)さんって今まで何に対しても無関心だったでしょ？なのに、こうして俺の成長なんかに気付いてくれる日が来るなんて思ってもみなかったから。正直、驚いてて…」
健人は、私の髪をくしゃりと撫でた。
健「つまり、俺と(人1)さんの成長に拍手〜」
一人でパチパチと拍手している健人を見て、何だか笑えてしまった。
プッと吹き出して、バカだなぁと笑うと、健人が「あっ」と私を指さした。
健「(人1)さん、今笑ったでしょ？」
あ「わ、笑ってないっ！さっきのは、その、……ただの失笑だから」
健「はははっ。もう、ほんとに強情だなぁ」
あ「うるさい。笑ってないものは笑ってないの！！」
相変わらず、コイツは感情表現が乏しい。
まぁ、私も人のことを言えたものじゃないけど。
あぁ、私たちはこんなにも不器用に生きている。
だけど、確かに少しずつ、成長しているんだ。
それ以上に、奇跡的なことってあるのかな？
ねぇ。
こうやって私たちは、このまま一緒に不器用な生活を送っていくの？
＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1410人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふまけんしょりまりそう - いつも楽しく読ませていただいてます表現の仕方がとても私好みで早く読みたくて勉強にも手が付かないくらいです。これからも頑張ってください。 (2018年8月21日 8時) (
レス) id: 47f8a41aa5 (このIDを非表示/違反報告)
北斗七星 - クンミンさん» 嬉しいお言葉ありがとうごさいます♪これからも楽しんでいただけるように頑張ります！！移行先でもよろしくお願いします(*´∀｀*) (2017年9月12日 0時) (レス) id: 5808d874ca (このIDを非表示/違反報告)
北斗七星 - ルンバさん» お久しぶりです。夜しか眠れないほど、、(笑)楽しみにしていただけて嬉しいです(*´ω｀*)これからもマイペースに頑張っていきますので、移行先でもよろしくお願いします！ (2017年9月12日 0時) (レス) id: 5808d874ca (このIDを非表示/違反報告)
クンミン(プロフ) - 更新のお知らせが嬉しい。間が空くとどんな内容だったかな？と思うことがないの北斗さんのは。直ぐに続きが読めるんです。それくらい楽しみなんだな〜きっと。 (2017年9月11日 8時) (レス) id: 1f2e7aa42e (このIDを非表示/違反報告)
ルンバ(プロフ) - お久しぶりです。やはり北斗七星さんの更新の通知は一番テンションが上がります（笑）北斗七星さんのペースで待っています！そして物語も最高に気になって夜しか眠れません、、、（笑） (2017年9月11日 2時) (レス) id: d207864c12 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：北斗七星 | 作成日時：2017年6月29日 18時
