一心 ページ43
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「え、今から!?どこで会うんすか!?」
奇しくも、待ち合わせのお店は、前に松本さんが紹介してくれたあのお店。
マサトとの話で、和也と使ったお店だ。
ニッシーくんが腕時計で時間を見た。
「じゃ、俺も一緒に…」
「ダメだよ。ニッシーくん、今から仕事でしょ?
大丈夫、私、1人で行ってくるから」
何より、和也の件があるから、ニッシーくんを一緒に連れていく訳にはいかないよ。ごめんね。
「え!?…待ってください。ハマダって、なに考えてるかわかんなくて怪しいっすよ。
1人は絶対ヤバいって、Aさん!」
「でも、私、ハマダさんが何を知ってるのか確かめなきゃ…」
「え…?」
「あ、大丈夫だよ(笑)。
そのお店、前に行ったことあるんだけど、店員さんがすごくしっかりしてるの。
それに、念のために催涙スプレーだってほら…」
バッグの中を見せると、ニッシーくんはもっと心配そうな顔をした。
「そんな顔しないで(笑)。
みんな自分のできること頑張ってるんだよ。
ほら、アイちゃんのお見舞いだって、私、忙しいニッシーくんについ任せっきりだったでしょ?
私が頑張れるのってこのくらいしかないんだもん(笑)」
「そんな、Aさん仕事すっげー頑張ってるじゃないすか」
「仕事は当たり前でしょ(笑)。もう、行かなきゃ。ニッシーくんもお仕事頑張ってね!」
「ちょっと、Aさん!!」
今考えると、この時の私は、“和也も、アイちゃんも、ニッシーくんも、みんな頑張っているんだもん、私も頑張らなきゃ…”その一心だった。
馬鹿だよね。
ただ頑張らなきゃ、覚悟しなきゃって気持ちで頭がいっぱいで。
私は本当に大事なことが見えていなかった…。
+++
1人でお店の前に立つと、さすがに緊張して身震いする。
話が通じない人じゃないと思いたい。
待ち合わせがこのお店だったという事が、少しだけ私に勇気をくれるような気がする。
大丈夫。
いざという時は、催涙スプレーもある。
それでも何かあったら、店員さんに助けを求めればいい。
受付でハマダさんの名前と個室番号を出すと、前回と同じように係の人がエレベータに案内してくれた。
最上階に到着し、チン…という音と共にエレベータを下りて、驚いた。
前回のフロアよりも廊下の間接照明が薄暗くて部屋の数も少なく、何だか、妖しい空気が漂っている。
え、うそ…!?
同じお店なのに、この間とはかなり雰囲気が違っていて…ちょっと怖い…。
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kico(プロフ) - なるさん» 書いてるうちに悪役に心情移入してしまい、だんだん実は良い人だった設定に変わってしまうことが私はあるんですけど(元カレくんとか。笑)、ハマダは、そうなることはないでしょう(笑)。こういう人まず居ないだろうからその分最後まで悪役をしてもらう事に(笑)。ふふふ (2015年5月7日 9時) (レス) id: e6fa685b25 (このIDを非表示/違反報告)
kico(プロフ) - しろさん» この章と次の章は楽しくない展開が続いています…ごめんなさい;;それを過ぎたらいつもの私の妄想路線に戻るはず!きっとここで感じた事がきっと今の2人の土台にあるから揺るがないんだと信じて書いています(と書くと大袈裟だけど何となくそんな感じで。笑)。 (2015年5月7日 9時) (レス) id: e6fa685b25 (このIDを非表示/違反報告)
なる(プロフ) - kicoさん、おはようございます(^ー^) 是非ともハマダを痛めつけちゃって下さい(笑) 何処まででも追いかけますょ~(*≧∀≦*) ドキドキしながら待ってます♪ (2015年5月6日 8時) (レス) id: a4e0b0ea69 (このIDを非表示/違反報告)
しろ(プロフ) - 主人公ちゃん…二宮さんに迷惑かけないように自分にできることを、、って頑張ったのに…。辛い展開で涙が(´;ω;`)それにしてもハマダ…なんなんだ!!← (2015年5月6日 0時) (レス) id: 30aeae7aa3 (このIDを非表示/違反報告)
kico(プロフ) - なるさん» なるさん、こんばんは^^!ハマダめー(怒)!!ですよね。彼には鉄槌が下るハズ(ふふふ。笑)ですが、まだ先は長い^^;次章もまだ同じような雰囲気ではありますが、よかったらぜひまたお付き合い頂けると嬉しいです♪ (2015年5月5日 3時) (レス) id: e6fa685b25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kico | 作成日時:2015年4月24日 23時