純粋な友情 ページ10
＋＋＋
マサトのことは、好きだと思う。
「お試しでいいよ。
俺を知らなきゃ返事できないだろ？
だから、ちゃんと知ってほしい。
返事は１年後でいいから…」
マサトにそう言われて、「そうかもしれない」と迷いながらも頷いた私。
一緒にいろんな思い出を作ってきて、マサトの良い所もたくさん見えて来て、ああ、この人好きだなあって思えてきた。
だけど…
その好きが、本物の恋愛感情だとは思えないままで。
だんだん、そんな中途半端な気持ちでマサトと一緒に居ることに罪悪感を感じるようになり、つらくなってしまった。
だから、今年の春…。
思っている事を、全部、正直に話した。
自分のマサトへの気持ちに自信がないこと…
それなのに、求められて夜も一緒に過ごしている自分に戸惑っていること…
なによりも、マサトに対して罪悪感を感じてしまい、一緒に居てつらいこと…
マサトは黙って私の話を聞いてくれて、「やっぱりね。わかってたよ」と寂しそうに笑ったんだった…。
＋＋＋
「相変わらず、総務課は忙しいみたいね？」
「うん、もうすぐまた改編の時期だからね。
それまでに総務で片づけなきゃならない事案が沢山で大変だよ」
「相変わらず、マサトは仕事バリバリだもん、すごいなあ…」
「とんでもないよ。毎日、目の前の仕事を終わらせるのがやっとだからね。目標は遠い」
「目標って…？」
「今はまだ秘密だな」
「そうなんだ」
もうやめよう、友達に戻ろうと二人で決めて別れた後も、友達としてこうして時々二人で会っている。
別れたことは、他の人には言ってない。
『いいよ。わかった。
それが、お試しした上でのAの返事なら、別れよう。
でも、ひとつだけ俺の願いを聞いてほしい』
『お願い？』
『俺は、しばらくはまだ他の子と付き合う気がないし、誰かから興味本位でウワサされるのも、いちいち説明するのも煩わしいから、Aに他に好きな奴ができるまでは、悪いけど俺と付き合ってることにしていてくれないか？』
マサトにそう頼まれたのもあって、社内ではまだ私たちは付き合っていることになっている。
私としては、できればスッキリさせてしまいたかったのが本音。
でも、別に私もいま誰かとお付き合いする気はないし、マサトの言う煩わしさは、私も同じように思ってたから、彼がそうしたいならそれでいいかな…と思った。
だけど、私たちの間にあるのは…
純粋な友情…それだけ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2977人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kico
| 作成日時：2014年11月7日 16時
