いつものパターン ページ3
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「それなら、楽屋か外で電話してください！」
「や、オレからかけたんじゃないからさ、向こうからかかってくるタイミングなの。
それに、楽屋は他のメンバーもいるし、外は人の出入りもあるしさぁ」
わざとらしく、にへらっと可愛く笑ってみせる二宮さんに、カチンとくる。
「ここだって、誰が来るかわからないじゃないですか！」
「大丈夫。表のドアに『社員の利用時間は１２時から１３時』って書いてあんじゃん」
「それはわかりやすく書いてるだけで、要するに休憩時間なら社員は他の時間帯でも使えるんですよ！」
「でも、実際、Aちゃん以外に会ったことないし、この後Aちゃんがここ鍵締めちゃうんでしょ？
結局さ、表の時間以外は誰も使ってないんだよねー。勿体ない」
ここ穴場だもん、気に入っちゃってんの…と、二宮さんはうんうんと頷いている。
「そうじゃなくて！ここが二宮さんにとって使いやすいかどうかは問題じゃないんです！」
また今日も、同じ注意を繰り返して疲れてくる、いつものパターン。
「わかってますって。
でもさ、オレがさ正式に使いたいつっても、許可されないワケじゃん？」
「どんな理由で申請するかによります」
「んじゃ、聞くけどさ、逆にどんな理由ならいいの？」
「例えば…撮影のためとか、やむを得ない理由があって、日にちと時間をあらかじめ指定して…」
「ほら、無理―！」
そう言って、二宮さんは手前のパイプ椅子に、ぽすんと座った。
「オレの電話ってさ、相手次第なんだよね。絶対無理だもん」
「そんなこと聞いていません！
そもそも、そこじゃないですよね？
電話のためなんて、やむを得ない理由になりません」
「ははっ、もーわかってますって。そんな真面目に答えなくてもさ(笑)。
あー、でもさ、オレも電話かかってくるたびお邪魔してるワケじゃなくてさ、かかってきても、普通はスルーなのよ？
でもさ、あんまスルーしてると、女の子って後からもっとめんどくさくなんじゃん」
「……」
ああ、言葉は分かるのに会話できないって、こういうことを言うのかな。
話にならない…。
「あれ、Aちゃんって、彼氏に電話スルーされても平気なタイプなんだ？」
「違います！そりゃ、スルーされたら怒りますけど…」
あ、しまった！
バカ正直に答えてしまった！
「でしょ！？ほら、やっぱそーじゃん！」
勝ち誇ったように、二宮さんがふふん…と胸を張って、ムカッとする。
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作者名：kico
| 作成日時：2014年11月7日 16時
